観念は体験の記憶が元になって作られる。例えば自分が太っていたとして、道の電柱と壁の間を通り抜けられないという体験をしたとしよう。
するとそれは記憶され、二度目は最初から通ろうとしなくなる。これは行動の無駄を省くことにもなるし、二度と同じ罠に掛からないようにすることにもなる。
つまりこれ自体はあった方が生存率が上がる学習機能だ。そして人間は他の動物よりもこの機能が強い。問題は、強すぎる事にある。

長く生きていると色々な経験をしてしまい沢山の観念を持つことになる。人間は記憶力が良くて中々忘れないため同じ失敗はあまり繰り返さない。
しかしあまりにも長い期間記憶してそれに従って生きているとそれを絶対的真理であるかのように錯覚してしまい、現実が変化しても受け入れられなくなる。

例えば上の例でいうならば、今は既に痩せていてその隙間を通り抜けられるとしても、出来ないという記憶が固定観念化してしまっているので最初から諦めて挑戦しない。
物事に対して慎重だとは言えるが、しかし慎重すぎれば何も出来なくなってしまう。歳を取れば取るほど保守的になり頭が固くなるのはこなためだ。
年寄りがあまり動かないのは単に体力が衰えたためだけではない。「○○なんて出来るわけがない」という思い込みを沢山抱えているからだ。
しかし現実は変化し続けるので結果は固定的には決められない。