顧問が意識のない剣太さんに「じゃあ行くか」と言って、救急車を要請したのは、午後0時19分ごろである。約1時間半にわたり、しごきが繰り広げられていたことになる。自らも足にけいれんを起こし、歩くことがままならなかった弟が剣道場の温度を確認すると、36度だった。

顧問から連絡を受けた父の英士さんが病院に駆けつけると、剣太さんは荒い呼吸で目をカッと見開いていた。「うおー!」とうなりながら起き上がろうとするのを、英士さんは懸命に押さえた。母の奈美さんも病院についたが、夕方、剣太さんは亡くなった。

体温は42度もあった。
熱中症を悪化させた熱射病だった