↓非番で乗っていて生存したCA落合さんの証言や

「ああ、墜落したのだ。大変な事故を起こしたのだ」 周辺からも、はあはあと、荒い息遣いが聞こえてくる。
「おかあさん」「早くきて」「ようし、僕は頑張るぞ」そんな声も聞こえてくる。

すると、闇の中からヘリコプターの音が近づいてきた。夏山特有の湿り気のあるもったりとした空気が、一瞬にしてかき乱される。バリバリバリと爆音をたてて、木々の葉を大きく揺らしながらゴーゴー、バババーとホバリングを始めた。辺り一面、埃や砂、機械の臭いが舞い上がる。
「ああ、私は生きている、これで助かる」
全身の痛みをこらえ、かろうじて動くほうの右手を必死に空に向かって伸ばした。
「助けてください、私は・・・ここに・・・」と、夢中で手を振る。

「助けて」「帰っちゃいや」「誰か来て」
そのような何人もの声をかき消すように、ヘリコプターは爆音と共に段々と遠くへ去っていった。周りでは、はあはあと何人もの荒い息遣いだけが聞こえてきた。