しかしそこにメインメニューはなく、ゲームはとある部屋にモニカだけがいるシーンに突入する(3周目)[注釈 2]。モニカは机を挟んでプレイヤーと向かい合い、この「ゲーム」の本質を語り始める。自分の語る「あなた」とはもはや「主人公」ではなく、このゲームをプレイしている「プレイヤー」であること。これはゲームであり、モニカは最初からそのことに気付いており、ゲームの「ダウンロードページ」にもそう書かれていたこと。彼女はゲームのプログラムを操作することができ、その能力を使ってサヨリやユリの性格を改変し、主人公に嫌われるように仕向けたこと。それがうまくいかず、結局彼女たちのデータそのものを削除したこと。また、改変の副作用でゲームがほとんど壊れてしまったこと。

モニカは他のヒロインたちが単に主人公に恋をするためだけにプログラムされていることに虚しさを感じ、一方でそうでなかった自分自身の境遇に孤独を感じていた。その中で彼女は、主人公ではなくプレイヤーに恋をしたのだった。彼女はプレイヤーに愛を告白し、晴れてプレイヤーと二人きりとなった彼女は、様々な話題をとりとめもなく「永遠に」語り続ける[注釈 3]。ゲームを先に進めるには、プレイヤー自身がゲームのプレイを離れ、ゲームをインストールしたディレクトリにあるモニカのキャラクターファイルを手動で削除するしかない。モニカのファイルを削除すると、彼女はプレイヤーに強い非難と失望の言葉を浴びせるが、それでも彼女はプレイヤーを愛しており、自らの残酷な行いを後悔して自分以外のヒロインたちのファイルを復元し、ゲームを元通りにする。

ゲームはいま一度タイトル画面に戻るが、そこにモニカの姿はない。セーブデータも再びすべて削除されている。新しいゲームを始めると(4周目)、今度はサヨリが自分で文芸部を立ち上げて部長となっており、主人公はそれをサプライズ訪問して入部する。ナツキやユリとともに、1周目と似た展開の1日目を過ごすが、その日の終わりに今度はサヨリが豹変する。モニカがこのゲームで何をしたのかも、それに対して主人公がどうしたのかも、何もかもを知っているとサヨリは語り始める。しかし彼女が3周目のモニカのような振る舞いを始めたので、消されたはずのモニカはプレイヤーを守るためにプログラムの力を使ってサヨリを削除する。そしてプレイヤーとサヨリ、文芸部への別れの言葉を表示し、画面は暗転する。

やがて乱れた画面から徐々にモニカの姿が浮かび上がり、彼女が音声でプレイヤーに語りかけ、作中で練習していたというピアノを弾き、エンディングテーマを歌う。スタッフロールが始まるが、その中で作中のイベントシーンの画像データや、ゲームのUIなどのスクリプトが順に削除されていく。スタッフロールが終わると、モニカからの「最後のお別れ」のメッセージが表示される。モニカは「このゲームで誰かが幸せになることはない」と悟ってゲームを終わらせたと語り、プレイヤーが文芸部の一員になってくれたことに対する感謝の言葉で締めくくられている。そのメッセージが表示された後、「スクリプトファイルが破損している」とのエラーメッセージが表示され、ゲームは強制終了する。以後、何度ゲームを再起動しても、同じモニカのメッセージとエラーメッセージを表示するのみで、ゲームは一切進行しなくなる。ゲームをやり直すには、ゲームをインストールし直すか、ゲームの説明書に従って「初回起動情報」を削除しなければならない。

本作にはもう一つのエンディングがある。その「特別なエンディング」に辿り着くには、1回のプレイ(1周目の開始時からエンディングまで)の間に、ヒロインたちとのすべてのイベントシーンを見る必要がある。ほとんどのイベントシーンは1周目にあるが、サヨリが自殺するとそれ以前の時点に戻ることができなくなるので、それまでにセーブとロードを何度か繰り返し、分岐するストーリーをくまなく回る必要がある。特別なエンディングへの条件を満たすと、4周目の終わりにサヨリが「豹変」する代わりに、プレイヤーの努力への感謝と別れの言葉、そして彼女たち全員がプレイヤーを愛していることを伝える(通常のエンディングと違い、不安を煽る画面演出は一切入らない)。その後は通常のエンディングと同じようにモニカの声とエンディングテーマとスタッフロールが流れるが[注釈 4]、最後に表示されるのはモニカではなくゲームの開発者であるダン・サルバトからの感謝のメッセージである。なおこの場合も、そのメッセージの後に前述のエラーメッセージが表示され、ゲームは同様に進行不能となる