あの人は今甲子園連覇ドラ1根尾昂さん(28歳)
2028年、日本シリーズ。それをテレビで見つめる男がいた。
18歳で将来を嘱望され中日ドラゴンズへ入団した、根尾昂さんだ。
「あの頃は若かったですね(笑)」若き日を回想する根尾昂は、どこか寂しげだ。
「未だに当時の夢を見ることがあるんですよ。日本シリーズで、俺が逆転打を打って活躍する夢を」
根尾さんは23歳の時に左手を故障、4年間リハビリを続けたが
結局完治することはなく、ドラゴンズから戦力外通告を受けた。
今はパン屋を営む傍ら、地元の少年野球のコーチを勤めている。
暖簾の屋号の文字は中日ドラゴンズ、立浪監督の手によるものだ。
「いらっしゃい」。岐阜駅東口から歩いて3分。
「根尾バターロール」のえび茶色の暖簾をくぐって店内に入ると白いタオルを
頭に巻いた根尾昴さんと元看護婦の妻の元気な声に迎えられた。
「去年の4月にオープンしました。暖簾の文字は立浪さんに書いて
いただいたものだし、開店に合わせてスポーツ紙やテレビでも取り上げてもらった。
おかげで、県外から足を運んでくださるお客さんが多かったのはうれしかったですね」
根尾さんは本当に嬉しそうに、僕たちに語ってくれた。
とはいえ、その分、プレッシャーも大きかったという。
かつてのライバルの吉田投手の最多勝について尋ねると…
「知ってます?甲子園で優勝したのは大阪桐蔭だったんですよ?」と、おどけ
「俺も怪我さえ無ければって…歯がゆいですけど」
「今はもう現役に未練はありません。今度はこの、バターロールで日本一になれるよう、
がんばるだけです!」
(写真)フジパン認定証を手に持つ根尾さん