これも怖い


長崎県で中2男子(14)が行方不明。後に何者かに無理 矢理書かされたと思われる自筆の手紙が自宅に届く。

前略
心配かけてすみません。悪い友達にさそわれて、人のお金をとりました。
中には四十万以上も入っていましたが、僕は少ししかもらっていません。
学校の方は、僕の気持ちがおさまるまで、病欠にしていてください。
すぐに帰っておわびいたします。
どうかさがさないで下さい。 H(少年の名)

H君(仮名)は当時十四歳、中学二年生だった。
成績は普通だが、まじめでおとなしく、級友の信頼は厚かった。 クラスの風紀委員もしていた。
手紙は「事件」の翌日の昼ごろ、父親あてに届いた。
警察の鑑定で、H君の筆跡であることが確認された。
前日から、行方不明になったH君の、最後の消息でもあった。

●帽子持った訪問者

それは、昭和四十四年二月二十三日、日曜日。佐世保市内で起こった。
その日、午後二時すぎ、H君は「ちょっと町へ行く」と、自宅から出た。 縁側にやりかけの工作の道具を広げたまま。制服、制帽姿だった。 H家とは見ず知らずのクリーニング店員Aさん(当時二十四)が、H君の制帽をつかんで現れたのは、同夜六時半ごろ。H君の母親に驚くべきことを言った。
「午後三時半ごろ、場所は市内の道路。側溝に車輪を落としたバイクを、二人の少年がひきあげようとしていた。手伝おうと、ジャンパーを脱ぎ、道路わきに置いた。少年の一人が、いきなりジャンパーを奪って逃げ、中学生も続いた。
ジャンパーの内ポケットには、四十六万が入っている。遅れた中学生を追いかけ、ズボンのポケットにはさみこんだ制帽を取ったが、二人とも取り逃がした。制帽の名前をたよりに訪ねてきた。」