自分は大学では経済系を専攻して、司書課程で司書資格取って人口二十万弱の地方公共団体に司書と
して十数年前に採用された。
 司書課程で恩師(「レポート」とか「市民の図書館」の執筆者の一人)に言われたことの一つに
「図書館学と司書課程は似ていることを勉強しているけれど違うものだ。司書課程は実学だ。」と言う
のがある。自分としては簿記と会計学みたいなものかと当時理解していた。
 そして、博物館学芸員と図書館司書は志望動機が異なっていると考えている。
 博物館学芸員は研究者が自分のキャリア設計を考えるとき研究機関としての博物館を選択肢に追加
するために学芸員資格を得ようとしているように思われる。(特に歴史系・芸術系・自然科学系)
 対して図書館司書希望者はそれまでの図書館利用経験から図書館で働きたいと考えて司書資格を得
ようとする。だから、学芸員は論文を書くし、司書は論文を書かない方が多い。と思うがどうであろ
うか。あとは職場の雰囲気というのもある。日図協・図問研への加入を推奨されるところもあるし、
拒否しているところもある(特に図問研)。論文についても編集委員に同僚を推薦・紹介したりする
ところもあれば「出る杭」式に嫌がられる所もある。
 現状では司書の採用数の低下+大学の少子化対策としての大学院拡充で図書館司書になるより図書
館学研究者になる方が楽だし、人数が多いそうだ。(某大学教授(図書館学)の話)
 そのせいか、三十代以下の研究者に実務経験がないのが原因と思われる机上の空論レベルの論文や
研究発表が増えているように思える。出張で出してもらってそんなものを聴かされた日には時間の無
駄を返せと言いたくなるし、復命書を書くのにも困る。五十代以上だと研究一筋型人口が少なかった
せいか各図書館の名物司書が転職で司書課程講師や図書館学教授になっている例が多いので研究型よ
り実学型が多いように思われる。希望的観測では社会人向けの大学院が増えてくれば実務と研究の両
輪を持った若手研究者がふえるかもしれない。が悲観的になれば職員の自然減により若手がいない
(我が職場の最若手は三十歳)、若手が仕事で燃え尽きになることを防ぐことの方が先決かもしれない。