1 29条1項はなにを保障したものといえるか。
これについて最高裁は森林法共有林判決において、私有財産制度を保障するだけではなく、社会経済
活動の基礎をなす国民個々の財産権につきこれを基本的人権として保障するものとしている。

2 ではその保障された財産権を制限する場合の根拠はなにか。
つまり29条2項にいう「公共の福祉」の内容が問題となる。
最高裁は上記判例において、社会公共の便宜の促進、経済的弱者の保護等の社会政策及び経済政策上
の積極的なものから、社会生活における安全の保障や秩序の維持等の消極的なものに至るまで多岐に
わたるものがあるとしている。(そのうえで森林法186条の立法目的につき必要性と許容性を厳格に
審査し違憲と判断を下している。)

3 財産権が制限された場合、29条3項は「正当な保障」が必要であると明示している。
その具体的内容について最高裁は農地改革事件判決において、合理的に算出された相当な額であれば
市場価格を下回っても「正当な保障」であるとした。
ただしこの事件は占領中の占領政策に基づくものであったというきわめて特殊な事情があったことに
留意する必要があるといえよう。

以上