【特報】「除染は不可能」原発訴訟 東電開き直りの主張 コスト安自ら否定
http://www.tokyo-np.co.jp/article/tokuho/list/CK2014040702000154.html
「除染は費用がかかりすぎ、一企業での実現は不可能」。福島第一原発の爆発で
まき散らされた放射性物質の除染を地元住民が求めた訴訟で、東京電力はこう主張し、
「できない」と開き直った。原発事故の後始末に背を向け、再稼働に腐心する。
東電のあまりの無責任な態度に、被害者からは反発が相次いでいる。 (白名正和)
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◆「被ばく住民 訴える権利ない」
「生業を返せ、地域を返せ!福島原発訴訟」の原告団長中島孝さん(58)=福島県相馬市、
スーパー経営=は怒りをあらわにした。
「原発を爆発させて放射性物質をまき散らしたくせに。東電の主張は何なんだ。加害者なのに、
反省もなければ、事故収束や救済に対する責任感もない。被災者を侮辱している」
中島さんら800人は昨年3月、国と東電を相手取り、福島地裁に提訴した。求めるのは、廃炉と除染だ。
空間放射線量を原発事故以前の状態に戻すまでの「原状回復」を求める。賛同者は増え、
原告は約2600人に膨らんでいる。
問題の主張を東電がしたのは、先月の第5回口頭弁論でのことだ。まず、汚染地域の被ばく線量を
年間1ミリシーベルト未満に除染するには5兆円以上が必要という独立行政法人・産業技術総合
研究所の試算を挙げた。その上で、原告は年間1ミリシーベルトを大きく下回る水準までの除染を
求めているとし、「莫大(ばくだい)な費用がかかるため、一企業において実現することは不可能だ」
と主張した。

「5兆円」の試算は目安でしかなく、何だかごまかしのようだが、「技術的には可能だとしても費用が
かかりすぎるため、できない、というのが東電の理屈です」と原告側の青龍美和子弁護士が説明する。
国と東電はこれまでも「法的責任はない」と訴えを退けるように裁判所に求めてきたが、今回の主張に対し、
青龍弁護士は「驚くべき開き直りだ。道義的な責任はどこへ行ったのか。原状回復をできないのなら
破産するべきだ。破産して他に任せないと、後始末が妨げられる」。
先月の口頭弁論では、東電はもう一つ耳を疑う主張をしている。原発事故による福島県民の被ばく線量は
多くが年間20ミリシーベルト以下であり、喫煙や肥満、野菜不足より発がんリスクは低いとし、
「住民の法的権利が侵害されたと評価することは困難」だというのだ。

同じく原告側の深谷拓弁護士が解説する。「原発事故で放射性物質は飛び散ったけど、この程度の
量なら大丈夫、住民に訴える権利はありませんよ、という主旨だ。事故を起こした企業の言う
ことではない。個人的な喫煙や肥満と、被ばくという人災を比べること自体おかしい」
原告団は直ちに、この二つの主張の撤回を求めたが、東電は拒否した。「こちら特報部」は詳しい
理由の説明を求めたが、東電広報部は「係争中の案件なのでコメントできない」とだけ回答した。

かきおこし 524
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