クリスマスイブ。そして、クリスマス。
 世間一般の恋人達にとっては、すっかり特別な日となっている両日…。和樹と瑞希の二人もまた、
それにならって特別な過ごし方をすることに決めていた。和樹もその計画を台無しにせぬよう、
冬こみ合わせの同人誌も二十日に入稿を済ませていたりする。普段は月末近くまで仕上げ作業に
追われているぶん、これだけのんびりと毎日を過ごしていると、かえって落ち着かなかったほどだ。
 クリスマスイブはお出掛けデイと銘打ち、二人じっくりとデートを楽しんだ。
 普段よりおしゃれをして、普段より多く遊んでまわり、普段より贅沢なレストランで夕食を取って…
普段よりたくさんおしゃべりして。
 そして、手をつないだり腕を組んだりして街をそぞろ歩いた。普段は照れくさくて、とてもできない
ことではあったが…これも街中すべてがクリスマスという特別な雰囲気に包まれていたおかげだろう。
当夜のクライマックスとして、代々森の駅前にある大きなクリスマスツリーを二人で眺めたのだが…
そこでこっそりキスしたのも、クリスマスイブという特別な日を免罪符にしてのことだ。
 そして今夜…クリスマス当日はマターリデイと銘打ち、部屋でゆっくりと二人の時間を過ごすことに
していた。
 前日に買い込んできた食材から二人でごちそうを作り、注文していたケーキを受け取り、ワインを
開けて、賛美歌なんかを歌ったりして、プレゼントを交換して、キャンドルを灯して…そしてまた、
クリスマスを記念するような長ぁいキスを交わして。
 楽しいクリスマスにしようと二人で協力した甲斐あって、日付が変わる頃には和樹も瑞希もすっかり
上機嫌であった。普段はなにかと慌ただしい時間が、今は極めて穏やかに流れている。
「はふぅ…和樹ぃ…」
「…だからなんだよ、さっきから」
「ふふっ…なんでもなぁい…」
「ばーか」
 甘えた声でじゃれつきっぱなしの瑞希と、そんな彼女を小突きながら優しく目を細める和樹。
 一本のキャンドルだけが灯された部屋で、二人はゆったりとクリスマスの余韻を楽しんでいた。