ポルノより酷い作品群で文壇から「子宮作家」との烙印を捺されて掲載紙もなくなり日銭にも困る毎日を送る淫売が目をつけたのが「尼僧ビジネス」だった。
実家は徳島の仏壇屋。宗教の力でカモにされる阿呆がいくらでもいることは物心つく前から知り尽くしていた。
現アカハゲ宗務総長の母にあたる女学校時代の同級生のつてをたどり、聖地・高野山に潜入し、
あろうことか清僧(250の戒律を悉くまもる僧侶。つまり淫売の対極にある崇高なる存在。)である堀田眞快大阿闍梨(後の高野山真言宗管長、金剛峯寺座主)のもとに押し掛け、弟子にしろと息巻いた。
答えは素っ気ないものだった。
「来る場所を何かお間違えでは？」
怒り心頭で高野山を降りる淫売のドス黒い胸中に、鈍く閃くものがあった。
「そうよ。来る場所を変えればいいのよ。高野山がダメなら比叡山だわ。」
…あとはイロモノ作家で天台宗最奥の秘儀・稚児灌頂（浣腸ともいう）を世に公表した今東光大僧正をたらしこむまで時間はかからなかった。