五感で感じる森の癒やし　宍粟で「森林セラピー」体験

兵庫県宍粟市が２０１６年度から県内で初めて取り組む「森林セラピー」のモニターツアーがこのほど、同市波賀町原の赤西渓谷であった。
「森林セラピーってどんなことをするの？」－。イメージが湧かなかった記者も同行し、「森の癒やし」を最大限に引き出すプログラムを体験した。
登山やハイキングとは全く違う森の活用法に、目からうろこが落ちる思いだった。

宍粟市によると、森林セラピーは「医学的に裏付けられた森林浴効果」のこと。
同市は今年３月、セラピー効果が実験で実証できたとして、各地で森林セラピーの普及に取り組むＮＰＯ法人「森林セラピーソサエティ」（東京）から、
県内で初めて「森林セラピー基地」の認定を受けた。

今回のモニターツアーは、旅行会社が岡山市周辺の住民らを対象に募集。参加費は日帰りで５千円で、男女１３人が参加した。
ツアー客は森に入る前に、まず専用の測定機器で「ストレス度」をチェック。
指先で金属板に１分間触れるだけで、自律神経のバランスが測定できるという。

参加者らは雑談をやめ、静かに歩を進める。沢の音や鳥の声が、不意に大きくなったように感じる。
モミの木の下では、目を閉じて深呼吸を３回。耳や鼻、足の裏に意識を集中するよう促され、森の匂いを大きく吸い込んだ。

その後もたびたび立ち止まっては、木の葉の香りを嗅いだり、風の通り道を探したりするよう促される。
約８００メートルの距離を１時間かけて歩くと、樹齢４００年というスギの巨木２本に行き当たった。

参加者はここでマットを渡され、一人になれる場所を探して地面に寝転がる。
見上げた空には森の枝葉が重なり合い、屋外なのに何かに守られているような、落ち着いた気分になった。

http://www.kobe-np.co.jp/news/seiban/201510/0008514858.shtml