万引きや盗みを疑われていた事にずっと気付いてなかった事。

子供の頃から毎月のお小遣いの大半…というか、ほとんどを、近所の本屋で使ってた。
ただ、何分子供だったので、欲しい本全ては買えず、隔月で発行される高価な雑誌なんかは、
好きな作家さんが執筆していたら買うというスタンスで、発行される度、内容確認をしてた。
買うかどうしようか迷って、その雑誌を前に10分や15分迷ってるなんて事はザラにあった。
そんなある日、中学の頃。
ふと見たら店主のおじさんが、2メートルくらい向こうからじっとこちらを睨み付けていた。
そういう事が度々あったんだけど、間違いなく万引きを疑われてた。
しかしその当時は全く気付かず、(おじさん、近眼なのかなぁ)くらいに思ってた。
なので、何かの拍子に目が合うと、にっこり微笑んで、「こんにちは」と言ってた。
そうするとおじさんは毎回慌てて作り笑顔を浮かべて目を逸らしたけど…。
高校生になった頃にはおじさんにそんな目で見られる事はなくなり、ある時、
「私ちゃん、うちでバイトしない?」と誘われ、応じて、普通に勤めた。
その頃には疑いは晴れていたんだろうな。

本屋さんでのバイトは2年くらいで終わり、次にバイトしたのはコンビニだった。
そのコンビニで、レジの計算が1万円合わなかったらしく、店長に「私さん、知らない?」と訊かれた。
まっっったく心当たりがないので「さぁ、知りません」と言ったけど、
内心では、ひょっとしてお釣りの支払いを間違えたり、金額打ち込む時に間違えたりしたのかなぁと不安になった。
(※バーコードのなかった時代の事です)
その不安げな姿のせいで余計に疑われたらしく、小声で「…ったく、ふてぶてしい」と呟かれた。私はキョトン。
その後も普通に出勤したんだけど、店長はまたしても小声で「すごい神経ね」と小声。
それでも疑われている事に気付かず、
(店長さん、私の事嫌いなのかなー、まぁ確かにあんまり気は合わないけど)
くらいにしか思わず、普通に出勤してた。

本屋さんの時もコンビニの時も、アレってひょっとして万引きとか盗みを疑われてたんじゃない?と
気が付いたのは10年後くらいで、鈍いにも程がある自分に衝撃を受けた。