ちょっと深酒してるので読みづらかったら勘弁。
深酒の理由はT君の訃報を聞いたからです。明日じゃなくて
明後日お通夜だそうです。

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T君は産まれながらに障害児でした。詳しくは知らないけど、
言葉を喋るにも一苦労。「こんにちは」というだけで顔面中の筋肉を
使うので、まるで顔芸でもしているよう。何も知らないクソガキ共は
T君が喋るたびにゲラゲラと笑っていました。俺もそのクソガキの一人でした。

でもT君は何事にも一生懸命で、そんな彼の姿に、友達もどんどん増えました。
小学校を卒業する頃には、端からは滑稽に見えるT君の仕草を笑う級友は一人も
いませんでした。

神様はそんなT君に素晴らしい贈り物を用意していました。言葉と音楽の才能です。
彼は素晴らしい詩を作り、素晴らしい音楽を作りました。楽器を演奏することは
いくら頑張ってもできなかったけれど、歌は上手でした。一生懸命に歌っていました。

T君とは同じ中学、同じ高校に進みました。でも、その高校には悪い奴がたくさんいて、
T君はよく虐められていました。同じ小学校を出た俺や何人かの友達はT君をかばって
喧嘩をしましたが、そんな努力をよそに、T君自身の頑張る姿に友達がどんどん増えて行きました。

高校2年の学園祭で、T君はバンドを組んで演奏することになりました。うちの高校の
学園際では音楽フェスティバルがあって、30組くらいがエントリーしていました。
ビジュアル系、ハードロック系、フォーク系など、さまざまなバンドが歌った後で、
T君のバンドが舞台に上りました。クラスメートはみな固唾を呑んで演奏に聴き入りました。
(続きます)