大学院を修了し、ささやかな謝恩会を終えた夜
修了生がそれぞれ、世話になった教授に握手を求めていた。
萎縮しててダメだった自分、学生時代に何もやりきれなかった自分。
おそらく皆に馬鹿にされ、見放されていたろう。
でも、最後のけじめだしと思い
尊敬する教授に手を差し出し
「お世話になりました!」と握手を求めた。

教授はこちらを一瞥すると
目を伏せ、右手を引っ込めた。
それが自分の記念すべき学生時代の、最後のしめくくりだった。
むなしく差し出されたままの自分の右手が悲しかった。