(⊃д`) せつない想い出 (´・ω・`)
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0385おさかなくわえた名無しさん
04/03/04 01:08ID:4QgsxWgRもう楽器はやめた。
あの時の恥ずかしさが忘れられなくて。
ある日講義の合間に友達と話しているとケイタイが鳴った。
番号を知らないはずの父からだった。
「母さんが死んだよ」
私は電車に揺られ、実家に帰った。
そこにはシワだらけの父と、真っ白な母がいた。
他に誰もいなかった。
母は鼻に脱脂綿を詰められて少し苦しそうに見えた。
「お母さんこんな顔だった?」
東京へ出てから一度も実家には帰っていなかった。
「母さんなぁ、耳の癌だったんよ。もう聞こえなくなってずいぶん経ってたんよ。
普通は猫の病気らしいんだけど、母さん運悪かったんだなぁ」
じゃあ、あの演奏会のときも聞こえてなかったの?
聞こえてないのにソロ入れなかったのわかったの?
母には聴こえていたんだ。
私達の音楽が聞こえていたんだ。
私は改めて母の顔を見た。
ふと目を横にやると棺には、おじから借りっ放しだった私のクラリネットが添えられていた。
私の耳にはあの時失敗したソロが聴こえている気がした。
私は泣いた。
母の耳元で泣いた。
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