中三のとき、折れには付き合っていた彼女がいた。
同じ部活の、一コ下の少し暗めの女子。人見知りで、同性の友達以外とはめったに話さない子だった。
彼女に告白され、その時フリーだった折れはなんとなくOKしその子と付き合うことになった。
しかし折れの部活には可愛い子が三人いて、頼りない部長と比較された結果、三人とも、副部長の折れに必要以上になついてくれた。
いつも三人とばかり話す折れ。三人とも、彼女が唯一といっていいほど話しかけられる友達だった。
そして折れは卒業。その三人とは“恋人らしいこと”をしたが、彼女とはほとんど話すことのないまま自然消滅した。

一年後、彼女と狭い古本屋で再会。
会釈してくれた彼女。
友達と一緒にいた俺は、なんとなく恥ずかしくなって無視してしまった。

さらに一年後。ひょんなことから、三人のうちの一人と会うことになった。
その子は、「“彼女”が折れの卒業とともに部活を止め、卒業するまで誰とも話さなくなった」と、折れに話した。
ふと、思い出してしまった。
再開したあの日。無視してしまった俺へ向けた、彼女のとても寂しそうな瞳を。

急いで彼女の家に向かった。
・・・・・・空き家だった。

それ以来、女の子と話をすること自体少なくなった。
彼女と再会して“ごめんね”って言えるまで、これからもずっと、このまんまだと思う。