○公述人(百地章君) 

政教分離と信教の自由の保障の関係でございますが、
私は、端的に信教の自由を保障することが目的であり、そのための手段が政教分離
であると考えております。

 つまり、信教の自由は人権であります。他方、政教分離というのはいわゆる制度的保障
というふうに言われております。制度的保障というのは、基本的人権とは違って、後国家的な、
国家によってつくられた制度でございます、歴史的に。例えてみますと、ちょうど学問の自由と
大学の自治の関係に当たると思います。学問の自由というのは個々の学者あるいはすべての
国民に与えられている。しかし、歴史的に学問活動の中心になったのが大学であったということから、
大学に対しては国が介入したり干渉したりしないという形で、大学における学問の自由をより
確保するために大学の自治というのはつくられた、制度的につくられてきた、このような関係にあると思います。

 したがいまして、信教の自由を保障するための手段が政教分離でありますから、政教分離そのものをあたかも
目的とするような考え方は、私はこれは本末転倒であるというのが第一であります。学説の中には確かに政教分離
というのは人権であるという説もありますが、これは少数説でありまして、私はとりません。

あくまでも手段と 目的の関係にある。