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法理論を語る
http://ktfukui.cocolog-nifty.com/rechtstheorie/2005/03/post_1.html
2005.03.09 第3回先端系法領域研究会概要

 8日の研究会について若干述べておきましょう。

 そこでは、医療集中部ができることで、弁護士さんの目から見て何が変わったかということが議論
されたのですが、やはり気になったことは裁判官が「専門化」することで、一種の「職権主義化」が
進んでいるということです。

 ますます専門化が進む医療に対応するべく、集中部の裁判官は大変に勉強され、実際にかなりの専
門知識を備えておられるようなのですが、そうした知識が当事者を圧倒してしまい、「職権主義化」
が進んでしまうという問題は、「弁論主義」という民事訴訟法の建前からすれば放置できないでしょう。

 また、裁判官が個人的努力で専門知識をつけることは、裁判官の「私知」の利用という問題もはら
んでいます。「私知」の利用は裁判所の利用者間に不平等を生じます。

 場合によっては、裁判所の判断がまちまちということになってしまい、司法への信頼にも影響を及
ぼしかねません。

 生半可な知識による誤認の危険も排除できないでしょう。

 さらに、医療集中部が至れり尽くせりの手続を行うようになったことで、従来なら弁護士さんが
「裁判では謝罪を求められない」「時間がかかる」と言って示談に誘導していた案件も、示談に持っ
て行きにくくなったというようなことも話されていました。