>>169
ではUpします。
紅白も結果発表を残すのみか。いよいよ新年だなあ。

民法第2問 問題文>>170

答案

第1 1について
1 Cは、庭石を占有するEに対し、所有権に基づく返還請求をすることができるか。
前提として、所有権に基づく物権的請求権の肯否が規定なく問題となる。しかし、物
の円満な支配(206条参照)のために必要であるし、「本権の訴え」(189条2項、202条)の
文言もある。したがって、所有権に基づく物権的請求権は当然に肯定すべきである。
2 Cは、Eの前主であるDに対して所有権を対抗できるか。Aとの売買契約により、庭
石の所有権はCに移転する(176条) 。しかし、対抗要件である「引渡し」(178条) がなさ
れていない。
 では、Aと売買契約を締結したDに対し、Cは所有権を対抗できるか。「第三者」(同条)
の意義が問題となる。
 思うに、同条の趣旨は、動産の物権変動をなるべく公示することにより、動産取引関係
の安定を図る点にある。とすれば、「第三者」は引渡しの缺欠を主張する正当な利益がある
者を意味し、自由競争のもと原則として善意悪意を問うべきでない。
 しかし、嫌がらせの目的など、第一譲受人をことさらに害する意図で第二譲渡を受けた
者(背信的悪意者)は、自由競争のもとでも保護の必要がないので、信義則(1条2項)上引渡
しの缺欠を主張できないと考える。
 Dは、「専らCに嫌がらせをする意図」で庭石を買受けているので、背信的悪意者であ
り、「第三者」に当たらない。よって、CはDに対して所有権を対抗できる。
3(1) では、Dから庭石を買受けて引渡しを得たEに対し、Cは所有権を対抗できるか。
背信的悪意者からの譲受人の地位が問題となる。
(2) 思うに、背信的悪意者は、信義則上対抗要件の不備を主張できないだけであって、取
引により所有権自体は取得するので、その譲受人は所有権を取得する。とすれば、譲受人
は自身が背信的悪意者でない限り、「第三者」に当たると考えるべきである。
(3) 本問では、E自身が背信的悪意者である場合は、CはEに対し所有権を対抗できる。
よって、この場合は、CはEに対し、所有権に基づき庭石の返還を請求できる。
他方、Eが背信的悪意者でない場合は、Cは庭石の返還を請求できない。