>>856
平井先生は『債権各論U』で、「あれなければこれなし」公式の適用と何回も繰り返し
強調しているので、落雷事例では因果関係ありとなるはずですが、その意味での
条件関係と同視する考えではなさそうですね。

たとえば平井先生は「人の自由意志による行為が介在する場合」の事例で、原因行為が
なければその「自由意志に基づく行為」がない場合、つまり「あれなければこれなし」公式が
成立する場合でも、因果関係を認めません。

平井先生は、「当該具体的事実関係の下でそのような損害を生じる行為を選択するしか
なかったという関係が認められれば」という厳しい縛りを条件関係に付け加えています。

もともと「あれなければこれなし」の場合に「原則として」事実的因果関係は存在すると
しているので、この場合には例外を認めているのでしょう。