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国際法版らしくアカデミックに解説しましょう。
本件は国連海洋法条約111条3項、そして2項の追跡権の問題です。
沿岸国の法令違反を信ずるに足りる十分な理由があれば、
自国の経済水域から追跡権を行使できます。
新聞によると、日本側は法令違反があったと言い、韓国側は違法操業
はしていなかったと主張しました。日本側の法令違反の主張は、
違法操業ではなく、海保庁の立入り拒否についてです。
ここで日本側が違反を主張する法令と韓国側が違反を否定する法令の
違いに注目する必要があります。もし韓国側の主張が正しければ、
すでに韓国船は韓国経済水域に入っていますから、海保は拿捕する権限
はありません。立入り拒否が111条3項の法令に当たるかどうか、
また日本側がなぜ違法操業を主張しなかったか当たりに、
今回騒動の根っこがあります。

最後に担保金を受け取って海保は帰ってきたのですが、
これはまさに韓国経済水域で海保が執行権限を行使したことに
ほかなりません。
漁業法上は別に港に引致して取り調べ、そのうえで担保金を
受け取らなければならない訳ではありません。
言ってみれば交通反則金と同じですね。
その点では、海保はきちんと自分の主張を貫いたのです。
韓国経済水域で日本側の権限行使を認めた韓国の方が
日本の主張を認めたと言えます。