ただ実際のところ、MIDIで奏でられる曲は「音源」の質に大きく影響されるため、
ほとんどのユーザーが原曲とはほど遠い、言ってしまえばチープな音で聞いていた。
それでも、埋もれて聞きづらい音を拾って耳コピを競ったり、音の微妙な強弱や音程の上下を
原曲の通りに再現しようと調整したりと切磋琢磨しあって、職人と呼ばれるような人も出始めた。

そんななかで某団体がそれらを著作権侵害だとして、サイト運営者やMIDI作成者を提訴していった。
そのMIDIによって聞ける音が原曲とは程遠いものにも関わらず。
その結果WEB上からそれらのMIDI楽曲はすべて消え去り、MIDI職人と呼ばれた人たちも消えた。

楽器やバンドをやった事のある人なら、ほとんどというかほぼ全ての人が音楽を始める時、
まずコピーからはじめるという事を知っていると思うが、もしあのまま某団体があんなことをしていなかったら
あそこからオリジナルを生み出すミュージシャンが出始めていたのではないかと思う。
そして今、ニコ動やYouTube出身のミュージシャンがメジャーデビューし、大量のCDが売れまくっているが、
この流れがあの時あのまま進んでいれば起こっていたのではないか、現在の音楽業界もまた違ってたのではないかと思う。

奴らはこれから芽吹くかもしれなかった豊かな土地をブルドーザーで掘り返しコンクリートで塗り固めた。
と言い切ってもいいと思う。