たまたま[[直積 (ベクトル)]]という記事を目にしてどうも違和感を覚えたので
ちょっとググって見ると、ウィキペディアの記事を根拠にある書籍が誤訳の
謗りを受けていたのを見かけたのだが……、本当にウィキペが正しいのか?

割と初等的なところで見かけるベクトル同士の二項積 (dyadic product) としては

結果  積の記号    一般化
スカラー dot (·)
ベクトル cross (×)   exterior procuct
テンソル circled cross (⊗) tensor product

の三種類だというのは判るんだが、直積ってのは浅学からか聞いたことが無い。
ネットには、outer なのに何で直積なんだ直積なら direct product だろう、
英語版には記事があるが日本語版はだめだなというような頭の悪いツッコミが
あって笑うしかないのだが、そういう話ではあるまい。

で、スカラー積が inner product で、ベクトル積は exterior product だろうってのはともかく、
exterior の対義語は interior で、interior product ってのもちゃんとあって、
それは外積代数の言葉で、ふつうは内部積って訳す
(内部積に interior じゃなく inner を使う場合もある)。
すると exterior product は外部積でないと変なのかもしれない。

それとどうもベクトル積の意味での外積は outer product の訳語らしいという
話しも見つかる。要するに outer product には二種類の使われ方があり、
日本語でも(内積に対する)外積という言葉に二種類の意味があるということ
なのではないのか、と。

四元数の積はスカラー積とベクトル積の組と見ることができるし
(この意味では八元数をつかってベクトル積の一般化ができる)、
2階テンソルを行列と見てベクトル同士のテンソル積を行列の積で書くとき
縦にするほうと横にするほうを逆にすると内積に書けるなど、
「内積に対するもう一つの積」という意味合いはどちらの外積も
それぞれの意味でちゃんと持ってる。

ますます意味がわからない。

とりあえず「直積」の出所がよくわからなかったんだが、
誰かこの辺を明瞭に説明できる御仁はおられぬか?