やっぱね、一番大事なのは視野の広さ。つまり、視界の隅まで動くものを把握でき、
しかも同時に多くの動きを把握できること、その中で危ないものにはすぐさま注意
を向けられる能力だ。これは動きの激しいゲームをよくやると醸成されるという、
心理学の実験がある。前に視点を向けながら、三鏡の異変にすぐ気づけば、合格。

二番目に大事なのは、反応の速さ。これは反射神経の良さに加え、一定時間内の脳
の活動量、いわばCPU周波数に相当するものが多いことからくる。瞬時に起こるこ
とでもスローモーションに思えてくるときに脳の周波数が多くなっていると思って
間違いない。まだ確定的でないものの、これを裏づける心理学的な実験があって、
バンジージャンプ中とそうでない時は、人の時間の流れの受け取り方が違っている
という結果だ。この行き着く先の境地は、王やイチローなどが達したもので、ボー
ルが止まってみえるというやつだ。

第三には、先を予想することだ。前の車だけでなく、その前の数台の動きも把握し、
徹底して予想せよ。これをよく活用するには、敏感なる右足を持ち、アクセルのみ
で車の速度を調整できなければならない。パーパーとブレーキばっか踏むヘタッピ
から脱せよ。徹底した予想とエンジンブレーキの活用で、燃費もよくなるぞ。エン
ジンブレーキ中1500回転以上なら、エンジンへの燃料供給が止められるからだ（電
子制御エンジンの場合）。

第四には、よそ見をしない規律だ。頭にくる運転をするアホなやつが対向車にいて
も、瞬時にドアミラーの中で目で追いかけながら舌打ちすることは、それが0.5秒
の高等技だとしても、やってはならない。なぜなら、そのアホの後ろに、そのあほ
のラインに影響を受けたもっとアホなやつがいる可能性があるからだ。

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