理    由

 弁護人○○○○の上告趣意第一のうち、憲法一三条、二一条違反をいう点は、速度違反車両の自動撮影を行う本件自動速度監視装置
による運転者の容ぼうの写真撮影は、現に犯罪が行われている場合になされ、犯罪の性質、態様からいつて緊急に証拠保全をする必要
性があり、その方法も一般的に許容される限度を超えない相当なものであるから、憲法一三条に違反せず、また、右写真撮影の際、運
転者の近くにいるため除外できない状況にある同乗者の容ぼうを撮影することになつても、憲法一三条、二一条に違反しないことは、
当裁判所昭和四四年一二月二四日大法廷判決(刑集二三巻一二号一六二五頁)の趣旨に徴して明らかであるから、所論は理由がなく、
憲法一四条、三一条、三五条、三七条違反をいう点は、本件装置による速度違反車両の取締りは、所論のごとく、不当な差別をもたら
し、違反者の防禦権を侵害しあるいは囮捜査に類似する不合理な捜査方法とは認められないから、所論はいずれも前提を欠き、適法な
上告理由に当たらない。
 同上告趣意第二は、判例違反をいうが、原判決は所論引用の前記判例に相反する判断をしていないから、所論は理由がない。
 同上告趣意第三は、単なる法令違反の主張であり、同上告趣意第四は、量刑不当の主張であつて、いずれも適法な上告理由に当たら
ない。
 よつて、刑訴法四〇八条により、裁判官全員一致の意見で、主文のとおり判決する。
  昭和六一年二月一四日
     最高裁判所第二小法廷
         裁判長裁判官    牧       圭   次
            裁判官    大   橋       進
            裁判官    島   谷   六   郎
            裁判官    藤   島       昭