「麻薬王」の息子拘束も銃撃戦ですぐに釈放 メキシコ

メキシコでは、治安当局が麻薬密売組織の幹部を拘束しましたが、組織のメンバーが反撃に出て銃撃戦になり、事態を収拾できないと判断した治安当局は、拘束した幹部をすぐに釈放しました。

メキシコの治安当局は、北西部シナロア州で麻薬密売組織の幹部を拘束する作戦を行い、先月30日、その際の映像を公開しました。

映像には、治安当局の隊員がアジトの入り口を包囲し、麻薬密売組織の幹部の男を拘束する様子が映っています。

AP通信によりますと、この男は「麻薬王」とも呼ばれるホアキン・グスマン受刑者の息子だということです。

しかし、この直後、麻薬密売組織のメンバーが治安当局の職員や家族をねらって次々と銃撃事件を起こして13人が死亡する事態になり、
治安当局は事態を収拾できないと判断し、一度は拘束した幹部の男を釈放しました。

映像を公開したロペスオブラドール大統領は「命より重いものはなく、正しいことだった。彼らは市民を撃つのをいとわない」と述べ、治安当局の対応は、やむを得なかったと強調しました。

メキシコでは、治安当局と麻薬密売組織の衝突や、組織どうしの抗争による治安の悪化が深刻な課題で、犯罪組織への対応の難しさが改めて浮き彫りになりました。

https://www3.nhk.or.jp/news/html/20191101/k10012160561000.html