小さいころゴミ箱に放り込まれた紙を見ると近所に出来た電気屋さんの開店セールのチラシが入っていた。
そのチラシには「開店記念、ホットプレートで作った焼きそばを無料配布」の文字があってなぜ捨てられたのか全く分からなかった。
焼きそばが大好きだった俺は、タダで焼きそばか食べられるのかとワクワクしながら弟と一緒に電気屋の前まで行ったが
電気屋の近くまで来た時に目にした光景は閑散とした客誰一人としていない店頭で一生懸命呼び込みをしながら焼きそばを
小さなホットプレートで焼きつづける初老の電気店主夫婦・・・
しかも僕達の他に焼きそば目当てなのか近寄ろうとする同い年ぐらいの子がいたが親らしき大人に「近寄ってはいけないと言ってるでしょ!」と怒られたり叩かれたりして泣いていた。
子供の目にもあまりにも寂しい雰囲気だった上近寄ったらいけない理由があるのかと怖くなり「焼きそば下さい」と店の前まで行く
勇気が湧かず弟と一緒に遠巻きに電気屋を見て、そのままそそくさと帰宅したが
その直前店主が殴られたのかのような大きい悲鳴や何かが壊れる音がはっきりと聞こえた。
さらに両親に「何であの電気屋に行ったの!行っちゃいけないからチラシは捨てたのに!」とこっぴどく叱られ夜ご飯を抜きにされた上一晩家に入れてもらえなかった。
それから月日は経ち電気屋は無くなったがガラスが割られたり何かが燃やされた跡があるなど店は荒れ放題になっていた。
そして近くの川で初老夫婦の遺体が発見されたニュースをテレビで知ったが両親は明らかに喜んでいた。