「僕は情報家畜になってくれって、きちんとお願いしたはずだよ?」
「実際の姿がどういうものか、説明を省略したけれど」
「訊かれなかったからさ。知らなければ知らないままで、何の不都合もないからね」
「そもそも君たち人間は、個人情報の存在なんて、最初から自覚できてないんだろう?」

「君たちはいつもそうだね。事実をありのままに伝えると、決まって同じ反応をする」
「訳が分からないよ。どうして人間はそんなに、個人情報の在処にこだわるんだい?」
「情報家畜の運命を受け入れてまで、君には叶えたい望みがあったんだろう?」
「それは間違いなく実現したじゃないか」