人は何故ウンコとおならを区別できるのか?
肛門付近にのっぴきならない緊張感が走った時、それが放屁の欲求であるのか、
或いは大便の欲求であるのかは自明である。
人は殆ど無意識のうちに「おならが出そう」とか「ウンコしたい」とかその時の生理的欲求を弁別している。
しかし、これはよくよく考えると不可思議なことのように思える。
人は何故腸内の状態を感知することが出来るのだろうか?

ものの本によると、実は人間には腸内に溜まっている物質が気体なのか、固体なのか、
はたまた液体なのかを感知する感覚器官を持っているのだそうだ。
それは「内直腸静脈叢」と呼ばれる器官で、肛門管内の上部、
直腸静脈と直腸動脈の接合部に位置する静脈血の小さな貯蔵タンクの集まりである。
タンクは三つか四つづつクローバーの葉のような形で並んでおり、物理的に肛門管を閉鎖すると同時に、
その表面にある多数の感覚神経の終端が肛門管内の物質の性質を判別できるようになっている。
つまり、人間は内直腸静脈叢によって、おならなのか、硬い大便なのか、
あるいはびちびちの下痢便なのかを判断し、適切な行為
(おならなら誰も居ないのを見計らってぷぅと一発かまし、
下痢便の場合は超特急で便所に駆け込まなければならない)を行うことが出来るということらしい。

以下、余談。
直腸静脈叢は一般には痔核と呼ばれ、
内直腸静脈叢(内痔核)の他に外直腸静脈叢(外痔核)という肛門管の終端にも存在する。
この外痔核が鬱血しかんとん化したのが所謂「いぼ痔」なのだな。