■非課税で相続される「かばん」

 「若手議員の通常の活動でも年間約5000万円かかる。スタート時に自前の組織をつくる
となると、億単位の金が必要になる。議員になりたい人が参入できない大きな要因だ」。

 岩井奉信日本大法学部教授(法政治学)が、こう指摘するように、政治に金がかかるのは常識。

 ところが、世襲候補は、「3ばん」の1つ、「かばん」(資金)を非課税でそっくり引き継ぐことができるのだ。

 総務省政治資金課によると、政治資金規正法には「相続」についての定めがなく、仮に
資金管理団体そのものを子供に継がせても、「ただ単に代表者の名前が代わるだけ」(同課)
との解釈で、相続税がかかるわけではない。

 また、子供が別の資金管理団体をつくり、そこへ資金を移す場合も、政治団体間の寄付は
年間5000万円まで認められており、税金はかからないという。

 小渕優子少子化担当相の場合、父の恵三元首相の死後、平成12年から13年にかけ、
別の政治団体を経由した寄付という形を取り、約1億2000万円が優子氏の資金管理団体に移された。