歴代FE主人公が兄弟だったら 54章 [転載禁止]©5ch.net
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0381助けて!名無しさん!
2015/08/14(金) 20:33:42.37ID:m3tDHKqV年代を感じさせる石段をいくつも登り、真っ赤な鳥居を潜ればそこには小ぢんまりとした静かな神社。
物静かで寂れた印象を与えるかも知れないが、決してうち捨てられているわけではなく、
一人の巫女が境内を丁寧に掃き清めていた。
サクラ「……静かですね……」
ぼんやりと呟いた巫女は埃を箒であつめては塵取りで回収していく。
丁寧に仕事をする巫女に背後から駆け寄る影が一つ。
キヌ「サクラー!あそぼーよー!」
サクラ「ひゃぁっ!? き、急に飛びつかないでくださいお稲荷様!?」
キヌ「だってー〜〜〜今日も参拝客来ないんだもん。ひーまーひーまーひまだよ〜あそぼーよ〜〜!」
文字通り狐色の毛並のよい尻尾をぱたぱた動かしているのはこの神社のお稲荷様である。
早い話が神のようなもんである……かもしれない。
じゃれつかれて困っている巫女を社務所で茶をしばきながら眺めている神主が一人。
アサマ「…今日もうちは閑古鳥が鳴いていますねぇ…」
そう言って帳簿に目を通し嘆いている。
ミラにドーマにエッダにロプトにエリミーヌにアスタルテ。
種々の大教団がひしめく紋章町では、八百万の神々ごとにバラけて細々とした土着信仰を守ってる白夜の宗教はどうにも苦戦しているらしい。
なにより白夜人は良くも悪くも宗教感が大らかでいい加減であった。
最近はあっち側の宣教師が洗剤持って訪ねていったらあっさり改宗することも少なくない。
儲かるのは葬式やる寺くらいだ。
アサマ「うちの神様にアスタルテやドーマくらいの神通力があったならもうちょっと信仰も増したでしょうに…普通のユニットってどうなんでしょうねぇ…」
暗夜とか他所の地域とは神の概念が違うので唯一絶対、みたいな超パワーを持ってなくても神扱いされたりとかは白夜では割とよくある。
時と場合によっちゃ生きてる普通の人間でも現人神扱いだ。
ちょっと前にはたまたま道を歩いてたヘクトルという男が相撲大会に巻き込まれてうっかり優勝しちまったばかりに力の現人神、「横綱」として讃えられたりもした。
キヌ「聞こえてるよーアサマー?」
くりんとお稲荷様がこっち向いた。
じゃれられて狐毛まみれになったサクラはほっと一息。
アサマ「聞こえるように言ったのですがねぇ。このままでは信仰は廃れる一方。霊験あらたかな壺の一つも300万Gで売れるくらいの信心は集まらないものですかねぇ」
サクラ「か…神主様…それもどうかと…」
アサマ「そもそもバイト巫女を雇ったのも巫女目当ての参拝客を増やすためだったのですが…こう色気が足りなくては…はぁ…」
サクラ「あぅぅぅぅ……」
なんたる生臭神主だろう。もっとも神主も巫女も人間。
お賽銭集まらないと飯が食えないのだが。
キヌ「参拝客増えたらさ!例大祭できるかな?例大祭!花火っ!屋台!盆踊り!」
サクラ「あ、盆踊りはまた別口ですよお稲荷様?あ…あの、それより参拝客を増やす方法を真剣に考えないと…」
悩ましい話をする一同の中でお稲荷さんだけ経済的危機を理解している様子もない。
もっともバイト巫女も実は結構裕福な白暗家の娘さんであり、学業の傍らバイト始めたのも巫女の仕事に興味があったからである。
バイト先が潰れても大して経済的には困らないし他の神社に行けばいいのだが、こういう時に一緒に真剣に考えるあたり真面目なサクラである。
ミタマ「無能兄 神社倒産 悲しいな」
その時、社務所の奥で布団が蠢いた。その中の存在が目覚めたようだ。
アサマ「また貴女は昼過ぎまで惰眠をむさぼって…たまにはサクラさんを手伝いなさい」
ミタマ「働きたくないでござる ぜったいに働きたくないでござる」
アサマ「まったく…はぁ…」
サクラ「あ…あははははは…」
収入が途絶えた上にニートまで抱えた稲荷神社の将来は暗い…かも知れない。
キヌ「働かないなら代わりにあそべ〜〜♪」
ミタマ「ぐべぇ!?」
お稲荷さんが元気よく社務所に飛び込み布団に飛びついた。
ものの見事にフライングボディプレスになっている。
いくら体重軽くても怠惰に怠け抜いたミタマの軟弱な身には結構なダメージらしい。
お稲荷さんの兄者がいれば彼女の有り余るエネルギーを受け止められたかも知れないが…
兄者は恩返しにぶらっと数か月くらい出歩く事が割とよくあって今は留守だ。
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