トップページgamesrpg
389コメント711KB

歴代FE主人公が兄弟だったら 50章

■ このスレッドは過去ログ倉庫に格納されています
0001助けて!名無しさん!2013/12/10(火) 23:52:28.63ID:gHiD2qXb
ここはファイアーエムブレムの歴代主人公が兄弟だったら、という前提で
彼らとそれを取り巻くFEキャラ達の生活を描くネタスレです。

前スレ
http://kohada.2ch.net/test/read.cgi/gamesrpg/1368208873/

保管庫
http://wikiwiki.jp/fe_family/?FrontPage

雑談・議論掲示板
http://jbbs.livedoor.jp/otaku/9373/

絵版
http://cat.oekakist.com/FE_heros/
0159TMR(of ephraim)2014/01/30(木) 00:59:01.12ID:h1CWuBzy
???   「注意書きをします。
       基本的にエフラムはクラシックモード(シリアス描写)
       他のキャラはカジュアルモード(コメディ描写) となることがあります。
       また今回の投稿は腐、下ネタ表現を使ってしまいました。
       苦手な方等はスルーでお願いします。読んで頂けるとなによりです。
       では以下に本編となります」
       
 TMR(of ephraim) 3 【Tinny Moves Recovery(of ephraim)】 >>123‐129の続き

エフラムとリンは食料到達のためサカの草原に出かけていた。今まさに獲物を仕留めようとした…

???   「絶滅しないぞ!!」
エフラム  「何?動物が喋った?物の怪か?」
リン     「エフラム兄さん!その動物はタグエルよ、兎に変態するラグズの一種なのよ。倒したら逮捕だわ!」
エフラム  「ふん、逮捕だと?後でバルキリーでもしとけば大丈夫だ!
       お前も戦士であるなら一対一の真剣な果たし合いを所望する。行くぞ!」
シャンブレー「なんでそうなるんだよ…」
それでも逃げるシャンブレーをエフラム追う。
エフラム  「この槍の威力とくと見るがいい…くらえっ」
シャンブレー「俺だって、本気を出したら強いんだ!」
エフラム  「やっとその気になったか、嬉しいぞ!
エフラムは初手を放つ。
シャンブレー「なんで戦うことを喜んでるんだよ!
       こんなところで絶滅するもんかっ。相手が騎馬なら獣特攻があるこっちには分があるんだ」
シャンブレーは攻撃かわし距離をとる。間髪いれず再びはエフラムは槍を放つ。
エフラム  「いい動きだ、そうでなくてはな!これが戦い、至福の時というもの!」
しかし窮鼠猫を噛むの如く、捕食者のエフラムに草食動物のシャンブレーは後ろ脚で強烈な蹴りのカウンターをいれる…
エフラム  「なんとっ!?そうきたか!」
エフラムは回避しようとしたが久しぶり馬に乗っていたせいで上手く避けきれない。
瞬時に判断すると肉を切って骨を断つ…捨て身で攻撃に移る。
シャンブレーは一撃目で槍の金属製の打突部を弾き、なおかつ砕き散らす。
槍を壊されたエフラムは焦りをみせる。
エフラム  「チッ!」
また弾かれた時の衝撃にバランスを崩したエフラムは状態を安定させるため手綱を引く、
しかしシャンブレーが再び蹴りを入れるのには十分な時間であった。
二撃目…エフラムを確実に捉え、腹部めがけて渾身の一撃を放つ。
シャンブレー「タグエルの本気だ!」
エフラム  「グワッ…」
エフラムは体はくの字に曲がり、そのまま落馬する。
アイクのようにガチムチでもなく、ヘクトルのように分厚い脂肪を纏っているわけでもない、
細マッチョ体型のエフラムではこの蹴りはあまりにもダメージが大き過ぎた。
腹部へのダメージで吐血する。おそらく肋骨も数本折れてしまっているだろう。
その上落馬した衝撃で、脳震盪を起こし気を失ってしまった。
…エフラムは倒れてしまった。それを見ていつも通り弱腰に戻るシャンブレー。
シャンブレー「こ、これは正当…防衛なんだから大丈夫だよな…、俺は…悪くないよな…」
自分のやったことを後悔するシャンブレー、それ以上に責任を問われる事を恐れる。
そしてその名の通り脱兎のごとくその場から走り去った。
一部始終を見ていたリンが急いで駆け寄る。
リン    「エフラム兄さーーーーん。だめだ、意識が無い…とにかく手当てをしなくちゃいけないわ…」
0160TMR(of ephraim) 2014/01/30(木) 01:00:11.99ID:h1CWuBzy
リンはエフラムの傷の具合を診た。腹部右側の部分は青く内出血を起こし忌々しく陥没していた。
持っている道具で応急処置は施したものの、あまり芳しくない状態であった。
リン    「これは…酷い有様ね。無暗に動かせないわ…。
       ちゃんとした治療ができる所まで運ぶとなると、馬では衝撃が大きくて無理がある…
       となると杖が使える人を連れて来るしかなさそうね…」
しばらくしてマルスがやって来る。どうやって簀巻きの状態から抜け出せたかと言えば…
封印の盾を密かに持ってきていて、盾の鍵開けの効果を縄抜けに転用したからである。
また囲まれていたのにもかかわらず無傷であり、闇のオーブを外していたからだった…
そうなるとどうやって盾にはめ込んだんだ?…ということは聞かないでほしい。
マルス   「ひどいじゃないですか放置プレイなんて!」
リン    「はいはい。今はそれどこれじゃないわ」
マルス   「エフラム兄さん…負傷していますね。一体何があったんですか?」
リン    「ちょっとね…マルス、悪いんだけど。救助を呼びに行ってくれないかしら…?」
マルス   「僕が…ですか?(もし僕が助けを呼びに行ったら、ここに残るのはリン姉さんとエフラム兄さん。そうしたら…)」

 ………

「サカって陸地だから昼と夜の寒暖差が激しいの。ほら、もうこんなに吐息がWhite Breathね…
 エフラム兄さんは動けない…体が冷えてしまったら血の循環も悪くなって凍え死んでしまう…
 そうしたら私…一人になっちゃう。そんなの嫌よ…ダメよそんなの…」
「大丈夫だ…しばらくすれば回復する…心配するな」
「大怪我負ってるのにエフラム兄さんはどうしてそんなにやせ我慢するの?
 KINSINなんかどうでもいい…寒さのせいにして温め合いましょう…ね、お願い…
 でないとエフラム兄さんが死んじゃうもの…」
そして二人は寄り添いながら一夜を過ごすんだ…夜が明けるが未だ救助は来なくて
いつのまにか堕ちていたエフラムが目覚めると…そこには包帯や傷薬をもったリン姉さんが…
「気がついた?エフラム兄さん」
あれ?この展開、烈火の序章に似てる…もしかして…もしかして…
エフラム兄さんはリン姉さんが暗い表情しているのを気づいてなだめる。
「えへへ…ゴメン」
エフラム兄さんは殿下の宝刀…なでなでをする。そうするとリン姉さんの目から涙が流れ落ちる。
「うーん、ダメだ。もう泣かないって決めたのに…」
そしてエフラム兄さんはギュッとリン姉さんを抱きしめるんだ。
「…ありがとう。大丈夫、落ち着いた。エフラム兄さん、強くなりたいの…
 だからね、エフラム兄さん…私と一緒に結婚しない?」
エフラム兄さんはあっさりと承諾する。
「いいの!?ありがとう!すごく、うれしい!!ぜったい1人より2人のほうが心強いって思ってたの。
 エフラム兄さんが夫!私が妻!!がんばろう! ね?」

 ………

マルス   (こんなことがあってはならない…そうだなんとしても止めなくてはならないんだ)
瞬時に高速思考を働かせたマルス、未来を変えるために私情に満ちた策略を謀ろうとする。
マルス   「待って!エフラム兄さんは僕が看ててあげるからリン姉さんが救助を呼びに行って!」
リン    「ちょっとなんでそうなるのよ!」
マルス   「もう日が落ちて辺りはもう暗いから迷う恐れがある。
       リン姉さんはここの地理感があるし、暗闇でも目が効くからだよ。
       一刻も早く救援を呼ぶのならその方が最善だと思ったんだ」
リン    「ちょっと気に障る部分があったけどエフラム兄さんを助けるためなら…その方がいいか」
マルス   (揺動成功。リン姉さんは扱いやすくて助かります…)
リン    「すぐ呼んで来るから、あんたはちゃんと見てなさいよ!」
マルス   「わかってますって」
リンは街のある方へ向かって馬を走らせて行った。マルスはリンが小さくなりやがて地平線に消えて行くまで見送った。
マルス   (さて、こちらは夜に向けて準備をしますか…)
0161TMR(of ephraim) 2014/01/30(木) 01:01:52.36ID:h1CWuBzy
リンが救助に向かわせた後、マルスは冷える夜に備えて焚き火をする。その頃にはすっかり真っ暗になっていた。
草原でどうやって枝木を集めたのかといのは謎である。
マルスはエフラムの具合を診る。闇のオーブを持っていたせいか負の感情も混じっていた。
マルス   「一応さっき応急手当てをしたけどもう一度みようか…。
       いや…いっそのことトドメをさそうか…?後で救助が来ても力尽きたと演技すれば……」
負の感情に何とか耐えることができたが、家族でなければ殺っていたであろう。
マルス   「どうしてエフラム兄さんはシリアス、僕はコメディ扱いなんだろう…
       僕が怪我を負ったら、リン姉さんの看病してもらっていたのに…悔しいな…」
悪態をつきながらマルスは携帯していた傷薬を塗る。
ふと辺りが妙に辺りが明るいと気がつく…焚き火のものではない、おそらく照明器具の明るさだ。

???   「これは一大スクープですね。サカの中心で兄弟愛とは…」
マルス   「君はリーフの友達のティニーだったかな。どうしてここにいるんだい、よほどの暇人かい?」
ティニー  「いえ、暇人ではありません。ずっと戦っていましたよ、“白い悪魔”とね!」
マルス   「つまりネタがなくて困っていたんだね、そういうことだろう?」
ティニー  「くっ…まあそうですね。スランプ中で全く原稿が進んでいません。
       しかし同人の神様は私を見捨ててはいなかったのです!」
マルス   「そうかい…君は僕とエフラム兄さんをネタにするのかい?」
ティニー  「勿論です、そのためにここまで足を運んで来たんですよ!
       それに、兄弟家でKINSINだなんて極上モノではありませんか?
       密かに姉に恋心を抱く弟、しかしその姉は兄が好き。
       弟は兄を嫉妬し、復讐を兼ね自分のエゴで兄を貫くのですね。何というリアリティ溢れる話しでしょう」
マルス   「君はそのネタを行使するのであれば。君を法的に訴えることになるよ…
       そして君をもう二度とマンガを描けなくする、いいや闇に消えてもらうよ」
ティニー  「そうですか…でも、私ワープの杖持ってるんですけど、この件を容認してもらえれば
       エフラムさんを安全な所までお送りさせてもらうことをお約束します」
マルス   「フン、僕は君を少々甘く見ていてしまったようだね。ただの頭まで腐った人間だと思っていたけど。
       こんな駆け引きをしかけてくるとわね…」
ティニー  「同人作家を舐めてもらってはいけません、マンガをも芸術の一つです。
       人を笑わせたり、泣かせたりする…そのためにはシナリオや演出が必要です。
       そのために頭を使うことは至極当然なことですわ…」
マルス   「君も中々黒いんだね、容認するけど一応言っておく。
       これは人道的立場しかりから家族のためで選んだことだよ」
ティニー  「承知しております、それも美しい兄弟愛です。約束通り家まで送らさせて頂きましょう」

ワープの杖を使いエフラム、マルスを家まで転送する。残ったティニーは護衛役らしい人物と話す。
ティニー  「ふふふ…これで春コミは安泰ですね。イリオス、ちゃんと撮ってくれましたか?」
イリオス  「ばっちり証拠としてとっておいたさ」
ティニー  「では、この映像をFFTVのニュースに流して下さい」
イリオス  「そんなの意味があるのか?スポンサー様の命令だからやるけどさ…」
ティニー  「プロパガンダです。マル×エフという新たなジャンルを世間に浸透させ、春コミでの売上を上げるためです」
イリオス  「この娘黒いな…」
ティニー  「本を売るためにはもう勝負は始まっているのです!
オルエン  「ねえ、イリオス?マル×エフって何?」
イリオス  「頼む、聞かないでくれ。ああ…そんな子犬のような目で見ないでくれ!
       あんたは腐っちまったらダメなんだから!!」
オルエン  「私が腐る?どういうこと、ねぇイリオス?」
ティニー  「それはですね……」
イリオス  「だああ…教えんなぁぁぁそこぉぉぉぉぉ」
ティニー  「モガモガ…」
オルエン  「ちょっとイリオス!お嬢様の口を塞ぐなんてセクハラよ!」
イリオス  「セクハラ上等っ!あんたが腐るよりはるかにいいさ!!!」
0162TMR(of ephraim) 2014/01/30(木) 01:03:00.08ID:h1CWuBzy
 ※兄弟家 居間※
ワープで家まで転送された、エフラムとマルス。エフラムの負傷により一家は大パニックとなっていた。
マルスから事情を聴く前に手当てをする長女と次女。服を脱がせ治療をする。
ミカヤ   「一番怪我が酷い所は癒しの手で…」
エリンシア 「リライブじゃだめだわ…リーフちゃん、リカバー取って来て!速く!」
その様子をクロムは羨ましくも思ったがそれ以上に喜びも感じていた。
というのは、エイリークが前回の事(クロムに対する死刑宣告)を忘れてしまうほど動揺し、
死亡フラグを回避できたからである。
クロム   (本人には悪いが…エフラムGood Job!)

 ………

治療も終わり、エフラムを自室で寝かせる。
ミカヤ   「治療はしたけど、しばらく絶対安静ね。エフラムのことだから無理に動くに違いないわ…
       みんなで徹夜態勢で交替で看病するように…」
その後ミカヤは経緯をマルスに問う。
ミカヤ   「…つまり、エフラムは獲物と戦った時に負傷したってことね」
エリンシア 「リンちゃんは、救助を呼びに向かったけどその間に助けが来てくれたというわけね」
ロイ    「それじゃリン姉さんはどうなるの?」
マルス   「今も助けを呼びに行っている途中でしょう、家に戻って来てくれればいいのですが…」
リンの事が気になるマルスをシグルドがフォローする。
シグルド  「マルス、お前は良くやったよ、お前がリンとエフラムを残していったのであれば
       私はエフラムにトドメをさせていただろう…」
全くフォローになっていない。どうやらマルスと同じことを想像したのであろう。
エリンシアはシグルドをブッ飛ばす寸前まで至っていた。すかさずロイは助け舟を出す。
ロイ    「シグルド兄さんはいつもリターンリングを所持しているから、それをエフラム兄さんに使えば…
       助けに行っていたことになるね!そうでしょエリンシア姉さん!」
何とか場を静めさせた。それに乗じてエリウッドも険悪ムードを変えようと違う話題をふるが…
エリウッド 「それで、マルス。サカに行った時の獲物はどうしたんだい?」
マルス   「置いてきました、余分な物まで送ってもらうのは図々しいので…リン姉さんも持っていないでしょう…」
アイク   「つまり…今日は肉が無いということか?そうなのか!!エフラム、肉の恨みを晴らさせろ!」
ヘクトル  「アイクの兄貴抑えてくれって、エフラムはケガ人なんだから…」
エリウッド 「蝶サイコー!今月は治療費も増えて最悪だ……」

 ………

リン    「ただいまーー!!姉さん、エフラム兄さんが大変なの!!!!」
ミカヤ   「おかえり、リン。エフラムとマルスなら一足先に帰って来てるわ。治療も終わってるから心配しないで…」
リン    「そうなんだ…良かった。……ってみんなそんな興奮してるのよ!」
事情を知らないリンには訳が分からない光景であったがエフラムが無事であることには素直に喜んだ。
ひと段落着いたところでテレビをつけ、FFTVを見ることにした。

 ………

ドロシー  『…この時間のニュースは以上です…たった今緊急情報が入って来ました。
       兄弟家マルス、エフラムがサカの草原で遭難!?救助隊により無事保護された、とのことです!』
セーラ   『映像がでるわ、見てみましょ…』
セーラの号令で映像が流れ出す。しかし、それはマルスが傷薬を塗っているシーンだった。
映像に加えてテロップが流れ出す。
『サカの中心で兄弟家マルス、兄エフラムに禁断のリフ(傷薬)プレイ…』
マルス   「な、な、なんじゃこりゃぁぁぁあああああ!!!」
リン    「あんた…さっきやけに私を救助に行かせたがったのって、これが目的だったの?
       まさかエフラム兄さんのことが好きだったなんて…」
シグルド  「私はKINSINは許さんと言いたい所だが…男同士ならまあいいだろう」
マルス   「違いますよ!僕は治療の為にしていただけなんです!!(あのクソ女!許さん!絶対に潰す!)」
       
シグルドには斬られなかったが、リンから軽蔑の目で見られるようになってしまうマルスであった
0163TMR(of ephraim) 2014/01/30(木) 01:03:54.35ID:h1CWuBzy
 ※兄弟家 エフラムの部屋※
次の日の朝、エフラムはまだ目が覚めていなかった。
それもそのはず夜中に起きないようにスリープで強制睡眠になっていたからだ。
午後の昼下がりに目覚める…腹部には激痛が走り夢ではないことを実感させられる。
加えて呼吸だけでも痛みが生じる。
布団の傍らに誰かいることに気がついた。
エフラム  「たしか君は…リーフのガールフレンドだったな。なんで俺の部屋に?」
ティニー  「看病です。それ以外に何があるというのですか?」
見ればわかるが何故家族ではなく部外者の彼女が看病しているのか?
とにかく掘り下げて話を聞くことした。
ティニーの話によれば本来の看病役はリーフだったようだ。
しかしどうしても外せない用事(お姉さんハント)のため、秘密裏にコンタクトを取り、交替したらしい。
ティニーは昨日の出来事の経緯を知っている。
なにより春コミのネタとなる人物に接触できる絶好の機会である。完全に利害が一致し、即承諾したのだった。
エフラム  「なぜスケッチブックを…?必要ないだろ…」
ティニー  「看ているだけじゃあまりにも暇でしたから、少しデッサンをしよう思いまして…」
エフラム  「絵に…心得があるのか…?絵はいいな…人に感動与えてくれる…」
ティニー  「そうですね。でも絵というよりマンガに興味があって、人物の練習を兼ねてということで…」
エフラム  「マンガを描くのも…鍛錬が必要だということか…何事も日々精進だな…」

話すこともなくなりしばらくの間沈黙が続き、ティニーはスケッチに戻る。
エフラムは部屋全体を見渡す…すると昨日の壊れた槍が視界に入る。
自分が作った槍の出来はあの程度だったこと、自画自賛していたこと…
ましてや他人に見せびらかそうとしていたこと。
振りかえると自分自身が許せなくなってくる。一体自分は何をしていたのか、何をしようとしていたのか…
槍と共にアイデンティティを砕かれてしまった。
塞ぎこんでしまったエフラムを様子を見るなりティニーは声をかける。
ティニー  「先程包帯を交換したときに見てしまったんですが、エフラムさんはいい身体つきをしていますね」
エフラム  「そう思うか…?だが昨日の事で俺は疑問に感じる…本当にいいのかと…」
エイリーク達に決して言わない事をティニーに言ってしまった。
ティニー  「私は今のエフラムさんでいいと思います。個性やこだわり、信念を曲げてはいけません」
腐女子であるティニーには、いわゆる細マッチョのエフラムは体型は理想的であり、究極の美だった。
エフラム  「だが…あれしきの攻撃で怪我を負うなら、俺はエリンシア姉上の言うように…もう少し肉をつけるべきだと…」
ティニー  「ダメです。ガチムチになってしまったら、マムクートの女の子達と遊んでいると確実に逮捕…いえ死刑です。
       今のビジュアルだからこそ最小限の罰で済んでいるのです!だから今のままでいいんです!」
ティニーは元気づける言葉を選んだのではなく、単に必要以上に肉がつくと萎えてしまうという本音だった。
しかし傷心したエフラムには激励に捉えられた。
エフラム  「君は芯が強いんだな…こんなことで信念が揺らぐとは…我ながら情けない。すまない変な話をして…」
ティニー  「ええ、構いませんから…」
気遣ってもらってばかり申し訳なく感じ、話題を変えようとする。その時、マンガという言葉を思い出す…
エフラム  「どうしてマンガを描いているんだ…?」
ティニー  「家族ぐるみでやっていることなので、自然と描いているんです。
       でも、一番のきっかけになったのはあの時でしょうか……」
0164TMR(of ephraim) 2014/01/30(木) 01:04:56.28ID:h1CWuBzy
 〜ティニーの回想〜 ※こみパシナリオ改変

あれは…数年前の春コミ…私はヒルダ伯母様に連れられて竜の門いえ…ビッグ○イトに行きました。
そして一日同人誌即売会を体験しました。その夕方に…

「ティニー、アンタは明日からまた学校生活、そんな日常に埋没してもお前は満足かい!?
 安穏とした生活の中、ただ送っていいものかどうか?
 否!断じて否!!
 それは停滞という名の堕落でしかないのさ!」
「すごい自己理論ですね…」
「感じなかったのか…今日出逢った人々から?」
「…最初は変な所と思っていましたが、みんな一生懸命で楽しそうでした…」
「楽しい、そう大切なのはそれなのよ!いいかい、今までの紋章町では貴族の娯楽が普及してきた。
 しかし、それは一部の富裕層でしかできなく道楽ともいっても差支えないのさ。
 それに革命を起こすのが同・人・誌、一般市民も楽しむことができる世界の新基準の文化さ!!」  
「同人誌ですか?ですか?」
「マンガのことだよ、世界を動かすのは、欲望、野望、魂の叫び!
 原作ではアカネイア、リゲル、グランベル、ベルン、グラド、デイン、ヴァルムは世界統一を成しえなかった。
 それは何故か…武力で世界を動かそうとした…それではでは人はついて来ない」
「恐怖政治に成り兼ねませんからね…」
「しかしマンガは群衆の心理を掴むことができる!
 そしてマンガには夢がある、野望がある。頂点をとれば富も名誉も、世界を動かす力もね!
 マンガを制したものこそ、世界を制するのさ!!!」
「世界を…制する?」
「よって、ティニー!新たなる世界の覇者となるため、今から同人誌を作りな!
  腕一本、ペン一本でお前はあの荒野の果てに旅立ち、同人誌による腐リージ帝国を創り世界を制するんだよ!」
「慎ましく辞退させて頂きます」
「そうはいかないね。これがウチらの運命だからね。血縁がそうさせるのさ!」  
「ヒルダ伯母様とは血は繋がっていません!」
「細かいことは気にしない、ブルームみたいになるよ。さあティニー!同人誌を作りな!」
「描かないですよ〜」
「アンタは確かに同人誌即売会を見たはず、あの場で何も感じなかったのか?
 いやその肌で感じたはずだね…奴らのぎらついた野望の瞳を、そして無限の可能性をっ!
 ティニー…あそここそ、紋章町に残された最後のフロンティア。
 そして、例え平民だろうがモブキャラだろうが脇役だろうが誰でも主役になる可能性がある!」
「だから…私の話を聞いて下さい…」

その時、漆黒さんが現れました。
「そのような腰ぬけになにを言っても無駄だ!銀色の髪をしていたからつい間違ってしまったではないか」
「あなたは!」
「逃げたければ逃げればいい……。その方がこちらとしては好都合だ!」  
「どういう意味ですか!」
「身の程をわきまえよ…」

漆黒さんは好き勝手な事を言い、転移の粉を使いどこかに消えて行きました。ヒルダ伯母様に尋ねると…
「このこみケで『同人の神』の称号をもつ漆黒の騎士さ。奴はその地位もさながら伝説も作っている…」
「伝説ですか?」      
「同人誌界で、『同人の神』の称号を得てもおかしくはない実力のサークルの間で真しやかにささやかれている伝説…
 春の同人誌即売会に漆黒の騎士が訪れたサークルは同人の頂点になれると…」
「それは漆黒のさんが口コミに流しただけだと思うのですが…」
「たしかあの『ダサい手槍』という調子に乗っているロマンチストな小娘が主催しているサークルにも
 漆黒の騎士が本を買いに来たと言っている。彼女が売れるようになったのはその直後さ…」
「漆黒さんの評価に周りが反応しただけと思いますが…影響とかありそうですし」      
「それでもかまわないさ!アンタがマンガを描くきっかけになれば、なんでも良い!
 結果がよければ、それでいい。過程なんて気にすんじゃないんだよ!
 さあ、ティニー!マンガなりな!…いや、腐女子なるべきさ!…
 違うね、腐女子になる運命なのさ!腐女子になってマンガを描くんだよ!
 そして成し遂げるんだよ“Tinny Makes Revolution”をね!」
  
 ………
0165TMR(of ephraim) 2014/01/30(木) 01:06:34.49ID:h1CWuBzy
ティニー  「こんなことがあったので今もマンガを描いているんです」
エフラム  「完璧に洗脳されているんじゃないのか…?」
興味本意で聞いてみたが…とんでもないエピソードであった。
だがティニーと話を聞くと不思議と創作意欲が沸いて来る…
ティニー  「でも慣れる色々楽しいですよ、一緒の趣味を持った人たちと知り合えますし、語り合えます」
エフラム  「一緒の趣味を持つ同志がいることは心強いな…」
強制(洗脳)だとしても天命としてしまえばそれでいい、要は享受できるかどうかだ。
彼女は受け入れた。受け入れた上で高みを目指している。
エフラムはヒルダがティニーに向けた言葉を自分に言い聞かせた。自分は槍を創る運命なんだと…
こんなことでつまずいてはいられない。壁が高いほど乗り越え甲斐があるということ。
今度開かれる槍コミュニティまで時間がある。なら、もう一度創らなくてはならない運命と。
しかし昂る気持ちに反し、怪我のせいで体が思うように動かない…
なんとか体を起こそうとするが腹部を中心に激痛が走る。…ふとリオンとの会話を思い出す。
エフラム  (エーギルというのは精神コマンドみたいなものと言っていたようだな…
       今は体を動かしたい…アドレナリンを放出させればいい…なら『気迫』が妥当か?)
呼吸を整え脈拍を静め、精神を集中させる。エフラムは『気迫』を使った!
エフラム  (これで無理矢理にも興奮状態になって動けるはずだ)
だがエフラムの予想に反して現実には腰の一部がスーパーモード、野生化してしまった。
寝起きの生理現象や瀕死の状態で種の保存のための潜在意識と相まってしまった。当然の結果だと言える。
もしこの場にいるのがティニーでなく他の妹、幼女なら完全な性犯罪者、男だったらガチホモ疑惑がさらに深まったであろう。
エフラム  (なぜこうなった?…だが少しは痛みが引いたような気がする…)
多少の性知識はあるエフラムもこの状況に困惑する…だが今は自分が成すべきことが見えている。
こんなことで立ち止まっていられない…
ティニーもエフラムの異変に気がつく。
ティニー  (なんということでしょう、蒼い霹靂じゃない晴天の霹靂ではありませんか…
       こんな私得な機会逃しません!なら成すべきことは一つ)
ティニーは興奮して鼻血を出してしまうが、エフラムに襲いかかり、ズボンを脱がせようとする!
エフラム  「何をする!錯乱したか?」
ティニー  「錯乱?何わからないこと言ってるのですか?ここがスーパーモードになっているほうがよっぽど錯乱しています」
エフラム  「なんだと!?俺は平常だ、離せこの変態娘!(絶対死守しなくては!)」
城を攻め落とすことは得意だが、籠城するのは苦手なようである。
ティニー  「女の子の前でスーパーモードになっている変態さんに変態と言われるとは心外です
       (さあ!パラダイスは目前です!生で見て、スケッチします!)」
エフラム  「離せ…ぐ…怪我さえなければ…」
ティニー  「怪我をしているからこそ、私に分があるんですよ。
       さあ私に見せてください、あなたの槍を!エフラムの勇槍を!」
エフラム  「誰が見せるか…!」

 ………

その時、運悪くリーフが帰って来る。
リーフ   「あ〜あ、今日もお姉さんハント失敗したな…ティニーの様子でも見にいくか…」
エフラムの部屋の鍵をなんなく開け部屋に入って来た。
リーフ   「何やってるの…君たち?もうちょっと自主規制したほうがいいんじゃない…」
エフラム  「助けろ、リーフ!こいつは変態だ、マジでやばいぞ!」
“邪魔するな”とアイコンタクトを送るティニー、瞬時にリーフは理解し“オーライ”と返す。
リーフ   「なんだか仲よさそうだね、さすがシスコンのエフラム兄さん。それと引き続き看病頼むよ、ティニー」
エフラム  「この…人でなしがっ!!」
面白い展開で、もう少し居たかったがリーフは部屋を出て行く…その顔は実に生き生きしていた。
リーフ   (このままティニーもエフラム兄さんにくっ付いてくれたら、僕の負担が減ってラッキーだな…)

 ………
0166TMR(of ephraim) 2014/01/30(木) 01:08:37.48ID:h1CWuBzy
孤立無援となったエフラムだが、その頃には幸いにも体全体が動くようになっていた。
エフラム  「いい加減に…しろっ…」
痛みにも耐えながらティニーを突き飛ばし大きく尻もちをつかせた。
少々荒っぽいことをしたが何とか自分の貞操を守ることができた。
ティニー  「あいたた…酷いじゃないですか、これでも私は女の子なんですよ…」
エフラム  「すまない…ただ俺は君の話を聞いて創作意欲が出たんだ…」
ティニー  「創作?スーパーモードということは子作りですか?」
エフラム  「ああって違うわ馬鹿者!…俺は槍を作っているんだ…
       作った槍を今度同志達に見せて、語ろうとしたんだが…昨日の出来事でこの様だ…」
ティニー  「武器を壊され…怪我も負ってしまったんですね(しかし…そこは非常に立派ということが皮肉です)…」
エフラム  「ああ、信念も砕かれてしまった。だが君のまっすぐさに洗礼を受けた」      
ティニー  「そんな大袈裟です…(つまり、エフラムさんもこっちの趣味に目覚めたのですね)」
エフラム  「そして思った…より良いモノを…もっと完成度の高いモノを…創り出す、そしてその先の極みを掴む」
ティニー  「その気持ちは私もわかります…以前私もそう思っていました。だけど今は違います…」
エフラム  「今は違う…?」
ティニー  「私は読者に喜んで貰えるように一生懸命がんばるんです。そう思うと…自ずと手も抜けませんし、妥協もできません」
エフラム  「読者に喜んでもらう…? 」
ティニー  「自分だけが楽しむんじゃなくて、みんなも楽しもうということです。
       ヒルダ伯母様はそれを含めての運命だの世界征服だの帝国設立の狂言回しを言っていたのだと思います」
エフラム  「誇示ではなく同志達と共感する喜び…」
ティニー  「だから楽しみに待っている人たちのためにも描くんです。
       例えエフラムさんの状態でも…利き手動く限りマンガを描きます!」
エフラム  「君がそんな覚悟をしているならいっそう俺は創らなくてはならないな…
       そうさ、四肢が欠損しているわけではでない。
       体がまだ動く。動けるなら…生きているなら…俺は創るんだ…」
ティニー  「私の言いだしたことですが…今は状態では…」
エフラム  「わかっているさ…でも誰かに咎められようが俺は創る…だから俺を行かせてくれないか?」
ティニー  (俺をイカせてくれ…)
お約束の勘違いをする腐女子、おまけに鼻血をこぼし布団を赤く染める。
ティニー  「それは、できません!」
エフラム  「何故だ?君は俺の気持ちが分かるはずだ…例え命を削ってでも創りだす情熱が!
       …もしや、姉さん達に何としても阻止しろといわれているのか?」
ティニー  「違います…ただ私はエフラムさんを描きたいんです!私にも創りだす情熱があるんです!
       だからこの機会を失う訳にはいきません」
ティニーの両肩を掴みまっすぐ彼女の瞳を見つめながら…自分の想いをぶちまける。
エフラム  「頼む、俺を行かせてくれ…この体が動く限り…行きたいんだ…俺は」
ティニー  「エフラムさんの情熱に負けました…け…結婚してください」
エフラム  「それより行かせてくれ…」
決死の説得でティニー懐柔に成功すると、すぐさま鍛冶屋に向かう手立てをする。
怪我の容体から二階から飛び降りるのは無理と判断し、ワープをしてくれと頼んだ。
エフラム  「鍛冶屋とは言わない外までいいから、俺を送ってくれ。
       姉上たちにはトイレに行っている時に窓から逃げ出したとでも嘘をついたらいい…。
       バレたとしても、俺が責任は取る」
ティニー  「わかりました。ワープの杖で有視界ギリギリのところまで転送しますね」
ティニーによって外に出されたエフラムは壊れた槍を杖にして鍛冶屋を目指し歩き出す。
ちなみに未だ腰の一部のスーパーモードは健在である。でもそんなのかんけーねーとエフラムは歩き続ける。
エフラム  (そうさ、まだ体は動く限り創るさ…)

 つづく…
■ このスレッドは過去ログ倉庫に格納されています