｢昔のグランベルにはいろんな個性的な戦士が居ました｡名前は出せないんですが､誰もが名前を知っている聖戦士の話です｡
彼と私とでは公国が違ったんですが､どっちも若い頃から軍隊の常連だったんでそういった舞台では同じグランベルの一員として戦ったんです｡
演習が終わったあとは軍みんなで一緒に風呂に入るんですが､まあ男所帯ですから
みな前など隠さず堂々としたもんです｡ところがその件の聖戦士だけはなぜかいっつも前を隠す｡
これがどうも気になりましてね｡ある意味騎士の職業病というやつでしょうか｡
そこで私はある親友達と結託して､そのセージが頭を洗っている隙に股間を隠してるﾀｵﾙを奪い取ったんですわ｡
するとそこには小さな獅子唐が……｡
その聖戦士は顔を真っ赤にして逃げるように風呂から出て行きました｡
それから何年も経って､互いにﾍﾞﾃﾗﾝと呼ばれる歳になって､その聖戦士はグランベルを代表する大貴族になったのと同時に
非常に態度のでかい王配になったんです｡私の囁き戦術なんかもまるで通じない｡
そこで私はその若い頃の風呂場の一件を思い出し､こう囁いたんですわ｡
『ﾊﾘ､お前は態度がでかいのに､ﾅﾆは小さいのう』って｡
そうしたらアルヴィスの顔が信号機みたいに真っ赤になって……｡
そのヴェルトマー城では効果があったんですが､次のバーハラでは凱旋式の振りをして私をファラフレイムで焼きおったんですわ｡
まあ､ユグドラルが大らかだった時代の話です｣