「迷惑なのよ!!」

明美は突然怒り出した、どうしたというのだ?、この前まで気にしなかったではないか。
「あ、あんたにそんなことされなくても、私一人で出来るんだからね!」
そう言い放ち、一人で作業を始めてしまった、だが案の定余り効率的とは言いがたい、

明美もそれが分かってる為か焦りの表情を浮かべ、、
手元が狂うたびに悔しそうにしながら、ちらちらとこちらの様子を窺っている。

「……仕方ないな、ほら貸せよ、そんなぬるいやり方じゃ日が暮れるぞ。」
「な、何よ、私一人で出来るんだからぬるくないわよ!、
 …でも、まあ、そんなに手伝いたいっぽいなら手伝わせてあげるわ」

そして完成した、十分な出来だ、これなら見事な鰌がすくえるだろう。

「まあ、私一人でも出来たんだけどね、一応礼は言わせてもらうわ、
でもここで有難うだけってのもつまらないから、
今度の踊りはあなたの為にっ、てのはどうかしら?、
べっ、別に深い意味なんてないんだからね!、何よ!何がおかしいのよ!。」

いよいよお披露目の日、明美は準備万端といった感じだ、
・・・何故だろう?、そこは確かに宴会の場だ、畳に襖という普通の和式部屋だ、
それなのに、それなのに!!、俺は幾匹もの明美に掬われた土壌が跳ねている
錯覚に魅入られた、部長や他のOLも見る感じ俺と同じ錯覚を見ているのだろうか。

「どうだった?私の踊り、すごいでしょ!、・・・ね、ねぇ、それでさ、
あなたさえ良ければ私と付き合わない?」
明美は鼻に割り箸を突っ込んだまま、達成感と恥ずかしさの入り混じった表情で
俺にそう問いかけた、俺はふっと優しい表情になり明美にこう返事した。


「だが、断る!」