☆メンボスレ☆ Part2 美咲とメンボ
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0001名前は開発中のものです。
04/05/16 16:16ID:BNci8GEi無いそこの貴方、内気でホムペも持っていないそこの貴方も、
どうせ諦めるならその前にここでメンボしてみないかい?
ルール
・募集担当、人数はちゃんと書きな。現スタッフ数もな。
・冷やかし禁止
誹謗中傷する人間はスルーして相手にしないように
・個人情報は詮索スンナ。連絡手段はフリーメール等を。
・すべてにおいて常識の範囲内で
前スレ
☆メンボスレ☆(メンバーボシュースレッド)
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0008名前は開発中のものです。
04/05/17 00:09ID:QQiItsgA遺体の火葬も終えて、残された家族は、いわゆる「日常」を取り戻していた。
動かなくなった美咲を見て取り乱していたおふくろも、今はすっかり落ち着いている。
美咲の死は悲しい出来事だったが、今回のそれはかなり救われた部分もあった。
ひとつは、まがりなりにも退院できたこと。病室のベッドの上で死ぬよりもずっといい。
それから、残された家族が受けた衝撃も少なかったと思う。今まで生きていたとは言え、
ずっと入院していた美咲は、「一緒に暮らしていた」わけではなかったので、
喪失感はあまりなかったことも確かだ。
そして最後に見せた笑顔。美咲は幸せなまま死ぬことができたよ・・・。
その時の様子を何度も尋ねるおふくろに対して、俺はいつもそう答えていた。
そう、それは嘘じゃない。あんな笑顔をする美咲を、俺はこれまで見たことがない。
最後に幸せな思いができたんだから、それでいいじゃないか、と。
警察には何度か事情を聞かれた。
美咲を跳ねた車はそれほどスピードを出しておらず、普通ならケガで済む程度だったらしいが、
病み上がりで小学生体型の美咲はその衝撃に耐えられなかったらしい。
もしかすると打ち所が悪かったのかもしれない。そんな話も耳にした。
俺は警察やおふくろに対して、そのときの様子を正直に答えていたが、ひとつだけ隠している
ことがあった。
そう、美咲が死ぬ前に言っていた、遺伝子組換えの能力。
今となってはそれが事実なのか美咲の妄想なのかわからない。喫茶店で見せた能力も、
改めて考えると単なる気のせいとしか思えない。
第一、本当にその能力で不老不死というのなら、なぜあんな交通事故で簡単に死ぬのか。
病気は簡単に治すことができても、不慮の事故には全くの無防備だというのか。
それと、最後に妙に明るかった美咲の性格と、ポップコーン。この2つの話も誰にもしていない。
これらは俺が墓まで持って行く、美咲と2人だけの秘密だ。
0009名前は開発中のものです。
04/05/17 00:10ID:QQiItsgA親父は相変わらず仕事、おふくろは近所のオバチャン連中に連れ出されて都内のデパート巡り、
皐月は部活。残された俺だけが一人、夕方のニュースを垂れ流すTVとにらめっこしていた。
オバチャン連中がおふくろを引っ張りまわしてくれているのは、正直ありがたかった。
彼女達も落ち込んでいるおふくろを励まそうとしているわけだし、この家で俺とおふくろの
2人きりになったら、どうしても美咲のことを考えてしまう。
美咲は幸せだった。あとは残された俺達が、美咲の分も幸せになることだ。
ピンポーン
不意に呼び鈴が鳴る。誰だろう?
家にいるのは俺だけで、無視するわけにもいかない。
ガチャリ
扉を開けるとそこにいたのは。
「ただいま、お兄ちゃん」
「・・・美咲?」
「うん」
信じられない。美咲だ。美咲が帰ってきた。どうして? どうやって?
「お前、幽霊か・・・」
「違うよ、ちゃんと生きてるよ。玄関で話もあれだから、とりあえず中に入れて?」
「おい」
「うわー、オウチだー。2年ぶりー。なつかしー」
0010名前は開発中のものです。
04/05/17 00:11ID:QQiItsgA家の中へズカズカ入り込んでいく。
見た目はいつもの美咲だが、中身は最後に見せた明るいほうの美咲のようだ。
「お前、ちょっと・・・死んだんじゃなかったのか?」
「うーん。ちゃんと説明したほうがいい? いいよね。
お兄ちゃんの部屋に行っていい? そこで話すよ」
美咲が帰ってきた。嬉しいか俺? 答えはノーだ。
嬉しさよりも先に、納得できる答えが欲しかった。
コイツは本当に美咲なのか、偽者なのか、それとも親父やおふくろもグルになった
ドッキリの一種なのか。それとも、俺の美咲を思う気持ちが生んだ、幻なのか。
美咲は1階を一通り見た後、俺の部屋を目指して階段を昇っていく。
仕方なく俺もついていこうとした瞬間、美咲はくるっと振り向いた。
「ところでお兄ちゃん、お兄ちゃんって彼女いる?
まさか私が死んでから新しい彼女を見つけたりしてないよね?」
「いないよ、美咲が死んでそんなことできる気分じゃないだろ」
「えへへ、そうだよね。嬉しいな。お兄ちゃん、好きだよー」
この2週間、網膜に貼り付いて離れなかった笑顔がそこにあった。
無意識に伸ばした俺の手を美咲はひょいと避けると、階段を昇って俺の部屋へ入っていった。
「くそ・・・」
いくら愛しいからとは言え、妹で正体不明の女の子に手が出るなんて・・・。
考えるよりも先に手が出てしまった今の行動を、俺はひどく後悔した。
0011名前は開発中のものです。
04/05/17 00:11ID:QQiItsgAあ、ゲーム機買ったんだ。これなんていうマシン?」
美咲は俺の部屋ではしゃいでいた。
もとから整理されていない俺の部屋だが、美咲の幽霊?に引っ掻き回されて、
さらにガラクタが散乱することになった。
もしや、こいつの正体はポルターガイストか?
「さて」
「なあに? お兄ちゃん」
「お前は何者なんだ? どうしてここにいるんだ? 説明しなさい」
「はーい」
美咲は手にしていたオモチャをもとあった場所に戻して、
俺の目の前にペタンとすわる。
ストレートの髪にシルバーフレームの眼鏡、襟の付いた縞シャツに
少し長めのスカート。喫茶店で話したときと同じ容姿だ。
「どこから話したらいいの?」
「お前の正体だ。美咲なのか、偽者なのか、幽霊なのか」
「うん、美咲は美咲だよ。本物。お兄ちゃんの妹、今はもう血がつながっていない妹」
「血がつながってないって・・・」
「やだな。お兄ちゃん、もう忘れちゃったの?」
忘れてなんかいない。忘れられないぞあれは。
「たしか遺伝子組換えとか言ってた、アレか?」
「うん。美咲ね、事故で死んで葬儀場で焼かれて骨になったけど、生き返っちゃった。
死ぬ前に骨になっても復活できるよう、遺伝子を組み換えておいたんだよ。スゴイ?」
「あ、そうなんだ。それは、はは、スゴイな・・・」
0012名前は開発中のものです。
04/05/17 00:12ID:QQiItsgAしかし信じないことには話が先に進まないだろう。今はとりあえず美咲のことについて
いろいろ知りたい。信じたことにして、俺は話を続ける。
「それで今日はどうしてここに来た?」
「うーんとね、今お兄ちゃんしかいないってわかったから、会いに来ちゃった。
だって2週間だよ。2週間もお兄ちゃんに会えなかったんだよ。美咲、寂しくて・・・」
そう言って、病室のベッドから離れられなかった頃の、あの美咲の表情をする。
「そうか。美咲が実は生きていて、お兄ちゃんに会いに来てくれて、俺も嬉しいよ。
おふくろも喜ぶだろうな」
「あ、それなんだけど・・・」
「どうした? おふくろに会いたくないのか?」
「えーとね。怒らないで聞いてくれる?
あの事故は、わざとやったの。美咲は、わざと車に引かれて、わざと死んだの」
美咲の告白。それは好きとか愛してるとか言われるよりも衝撃的だった。
あの事故は美咲がわざと起こした。そんな馬鹿な。
「怒ってる・・・? ゴメンね、お兄ちゃん」
「い、いや。怒ってはいないけど、ビックリした。でもどうして・・・」
「だって、だって・・・」
「美咲・・・」
それまでうつむいていた美咲はぱっと顔を上げて、俺を見つめる。
0013名前は開発中のものです。
04/05/17 00:14ID:dr3HXCTTでも美咲がこの家の子だったら、兄妹の関係だったら、一緒にはなれないでしょ。
だから美咲は一度死んで、新しく生まれ変わることにしたの」
「それは・・・そんなことが」
「お兄ちゃんは、昔から美咲に優しかったし、美咲の病気も治してくれた。
お医者様も治せなかった美咲を治してくれたのは、お兄ちゃんのくれたポップコーン。
あのポップコーンが美咲を変えてくれたんだよ。
だからお兄ちゃんは、美咲の命の恩人。美咲は、お兄ちゃんのためだったら、なんでもできるよ。
だから、だから、美咲を嫌いにならないで・・・恐がらないで・・・お願い」
いつの間にか美咲は涙ぐんでいた。以前はこんなに感情の激しい娘じゃなかったのに。
もしかしてこれも、あの能力で自分の性格を変えたのだろうか。
「美咲、落ち着いて。俺も美咲が好きだよ」
それはLOVEではなくLIKEなのだが、今はこう言って美咲を安心させよう。
よくできたお兄ちゃんだぞ俺。
「お兄ちゃん・・・」
「今日は、泊まっていくか? なんなら、お兄ちゃんが添い寝してあげるぞ」
「ううん、美咲はこの家には居られない」
「な・・・」
「美咲、そろそろもう行くね。お母さんが帰ってきちゃう。
今度会うときは、お兄ちゃんとはステキな出会いから始めるの。
美咲の遺伝子組換え能力で、きっとお兄ちゃんとつりあうステキな女性になっているから。
だから、また会おうね!」
「おいっ」
「最後に、このことは2人だけの秘密だよ? 誰にも言っちゃダメ」
「待っ・・・」
0014名前は開発中のものです。
04/05/17 00:14ID:dr3HXCTT突然の行動に俺の身体は対応できず、あわてて後を追ったが美咲はもう家にはいなかった。
「美咲・・・」
リビングのTVが付けっぱなしだったことに今気づいた。
ニュースが終わって、CMをやっている。新製品のお菓子をB級タレントが下品に頬張る。
プチッ
俺はTVを消した。
しばらくして両親と皐月が帰宅し、一家団欒の夕食となったが、
俺はそこに居ない美咲のことだけをずっと考えていた。
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