☆メンボスレ☆ Part2 美咲とメンボ
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0001名前は開発中のものです。
04/05/16 16:16ID:BNci8GEi無いそこの貴方、内気でホムペも持っていないそこの貴方も、
どうせ諦めるならその前にここでメンボしてみないかい?
ルール
・募集担当、人数はちゃんと書きな。現スタッフ数もな。
・冷やかし禁止
誹謗中傷する人間はスルーして相手にしないように
・個人情報は詮索スンナ。連絡手段はフリーメール等を。
・すべてにおいて常識の範囲内で
前スレ
☆メンボスレ☆(メンバーボシュースレッド)
http://pc5.2ch.net/test/read.cgi/gamedev/1005323011/
0041名前は開発中のものです。
04/06/16 00:34ID:ySs6dxg4皐月はそうではないらしい。近所の市民プールがリニューアルオープンしたという話を
どこからか聞きつけて、俺に連れて行ってくれとせがんできた。
「友達と行けばいいだろ?」
「ダメダメ。月曜に学校で自慢するんだから、友達と行ったら意味ないジャン」
「なら一人で行け」
「一人でプール行ったってツマンナイヨー。
兄貴ー、連れてって」
「いやだ」
「兄貴のケチ。ヘンタイ。ロリコン。
どうせまた、美咲のこと考えてウジウジしてるんでしょ。
あーあ、皐月ちゃんも死んだほうが兄貴に大切にしてもらえるかなー」
「・・・」
「今のゴメン、ちょっと言い過ぎた」
「・・・わかったよ、プール行くか」
「ホント? マジマジ? さすが兄貴、そう来なくちゃ」
確かに家でゴロゴロしていれば、美咲のことを考えて鬱になるだけだろう。
それなら、皐月と一緒に身体を動かしたほうがまだいい。
俺は車庫から型落ちしたサニー(家族共用車)を出すと、助手席に皐月を乗せて
市民プールまで走らせた。
0042名前は開発中のものです。
04/06/16 00:34ID:ySs6dxg4「なんだ」
「美咲って本当に死んだのかなぁ? 実はまだ信じられないんだ」
信号待ちの車内で、皐月が半分独り言のように話しかけてきた。
それは何気ない疑問なのか、それとも秘密を知った皐月が俺を誘導しようとしているのか、
どうにも真意がつかめない。ここはなんと答えるべきか、ちょっと躊躇する。
「そうだな・・・。美咲が生きてるって、なにか証拠でもあるのか?」
「うーん、証拠はないけどさ。アタシと美咲って双子ジャン。
双子特有の予感ってヤツ? よくわかんないけど」
「つまり皐月は、美咲がまだ生きてるんじゃないかって思ってるのか」
「うん、まぁ・・・生きてたらいいなって、そういう願望かも」
「俺も皐月と同じ気持ちだよ」
そう言って窓を開け、タバコの煙を外に吐き出す。
美咲の秘密がバレた、というわけではなさそうだ。多分、自分の半身ともいえる双子の片割れを
失った衝撃で、思春期の少女のココロがパニックになっているんだろう。
これでも一応、教育心理を受講しているから、それくらいのことは察しがつく。
俺だけじゃない。美咲を失ってショックなのは、皐月も一緒なんだな。
もっとも、俺のショックは、皐月のそれを超えたところにあるわけだが。
「着いたぞ」
車を走らせること20分、市民プールの駐車場は半分ほど埋まっていた。
俺は2人分の料金を入り口で支払うと、更衣室の前で皐月と別れる。
0043名前は開発中のものです。
04/06/16 00:34ID:ySs6dxg4「ああ」
男子更衣室はひんやりと薄暗く、人はほとんどいなかった。
中を見回すと、部屋の隅で若いお父さんが暴れまわる息子を着替えさせていた。
小学校高学年の男の子が一人、きょろきょろと辺りを見回している。迷子だろうか。
俺はその2組から離れたところで、トランクスを脱いで海パンに着替えた。
更衣室から見て、プールはちょうど南の方向にある。
そのため、プールに出ると真正面から日射しを浴びる形になる。
暗い場所から一気に明るい場所へ出たので、目がくらんで何も見えない。
「お兄ちゃん」
どこかで聞いた、俺を呼ぶ声。誰かが俺の手を握った。
強く握ったら折れてしまいそうなその手首、そしてこの声。間違いない。
徐々に明るいところへ慣れてきたその目をこらしてよく見ると。
「なにやってんの?」
皐月だった。
「あれれ?」
「どしたん?」
「いや、今・・・」
美咲の声が聞こえたような気がした。皐月なら俺のことを「兄貴」と呼ぶはず。
0044名前は開発中のものです。
04/06/16 00:35ID:ySs6dxg4「お前、今俺の手を握った?」
「はぁ? そんなことしてないよ。
もしかして、この皐月ちゃんとデートして欲しいの?」
「んなわけあるか」
いつもの軽口は流して、改めて皐月を見る。
さすがにスクール水着を市民プールで着てくることはしなかった。
しかしその水着はワンピースというよりオールインワンタイプのチェック柄で、
しかもチェックの縦縞より横縞のほうが太いから、遠目には囚人服に見えなくもない。
そう思ったが口には出さない。女の子が新しい水着を着てきたら、とりあえず褒める。
「その水着、初めて見るな。よく似合ってるぞ」
「ヤダ、兄貴に言われても全然嬉しくない」
口ではそう言いつつも、嬉しそうな皐月。こういうところはコイツも可愛い。
「それじゃひとつ、皐月ちゃんは泳いでくるかなー」
「準備運動しろよ」
「うわ、先生みたい。ダサ」
俺の忠告を無視して、水の中へ飛び込む皐月。
そのまま、流れるプールに身を任せて、俺の声の届かないところへ行ってしまった。
仕方ない、俺も泳ぐか。
自分でも年寄りくさいと思いつつも、軽く手足をストレッチして準備運動の代わりとする。
1、2、3、4・・・まぁ、こんなもんか。
俺は皐月とは別の巨大プールに入り、じゃぼじゃぼと水を書き分けてプールの中央にやって来た。
0045名前は開発中のものです。
04/06/16 00:37ID:JMofqPLO背後からの声と同時に、何かが背中に巻きついてきた。
驚きのあまり悲鳴をあげるところだったが、すんでのところで息を呑む俺。
やがてゆっくりと、呑んだ息を声にして吐く。
「・・・美咲か」
「うん。びっくりさせちゃった?」
「少しはな。しかし、いつからそこにいた?」
と振り向いたがそこには誰もいない。
今度こそ、声を上げてしまう・・・。
「だーめ」
「うむぐっ」
背中に巻きついていた何かが肩の上を通って口内に飛びこむ。
にゅるり、と嫌な感触が俺の背骨に響く。
なんだこれは。ぶよぶよして暖かい。
体温を持った蛙の卵か寒天のようなそれは、俺の身体の背後から口を塞いだが、
やがてちゅぽん、と抜けると、すすすと首筋に可愛くまとわりついた。
「静かにして、お兄ちゃん。
皐月ちゃんが見ているかもしれないから、透明になってみたの」
「わかった。・・・わかったが、なんだこの感触は?」
「えへへ、ちょっとクラゲの遺伝子を参考にしてみました」
ク、クラゲ?
それはちょっと悪趣味過ぎだろう。鳥肌がぽつぽつと浮かんでくる様が実感できる。
0046名前は開発中のものです。
04/06/16 00:38ID:JMofqPLO「しかし」
「しばらくこのまま抱きしめさせて。ね?」
そう言うと美咲は、俺の全身を丁寧に覆っていく。
透明なのか、その姿は一切見えないが、背中と首筋にしか感じられなかった美咲のぬくもりが、
肩から胸、そして腕と腹、最後に腰を超えて脚の先まで拡がっていく。
暖かなものにくるまれる感覚、母体回帰の本能が緩やかに呼び起こされ、やがて俺は
首から下はすっかり美咲に包み込まれてしまった。
「美咲・・・」
「気持ちいいでしょ、お兄ちゃん?」
「これは一体、どういうつもりだ」
「ホントはね・・・」
美咲の声に合わせて、俺を包む皮膚が少し揺れる。それが心地よい刺激となって、俺の心が
幸福感で満たされていく。真上から降りそそぐ日射しも、俺の思考能力を奪い取っているようだ。
俺は美咲を怒るでもなく、この異常な状況を驚くでもなく、美咲との甘い語らいを続けてしまう。
「ホントは、お兄ちゃんに美咲を抱きしめて欲しいんだけど、
お兄ちゃん、抱きしめてくれないよね?」
「当たり前だ。俺達は兄妹なんだぞ」
「だから美咲がお兄ちゃんを抱きしめることにしました。
母性本能が目覚めたら、それもアリかなと思って。
透明になったのも、姿が見えるとお兄ちゃんの理性が働くから、ね。
お兄ちゃん、好き・・・」
ひくひくと、俺の周りのぬくもりが蠕動する。
今度は、快感に呼応するために、全身に鳥肌が立つ。
既に力の入らなくなっている俺の身体を、透明な美咲が全ての方向から支えていた。
美咲に身を委ねながら俺は、このまま美咲に取り込まれてもいい、ちょっとだけ、
しかし確かにそう思った。
0047名前は開発中のものです。
04/06/16 00:38ID:JMofqPLOひとつになるって、どういうことかな・・・」
美咲の声が、近く、遠く聞こえる。
美咲も一緒になりたいのか? お兄ちゃんもそう考えていたところだよ。
身体は既に、そして心までもが美咲に取り込まれていくのか、このまま・・・。
「兄貴!」
どこからか現実に呼び戻す声が聞こえた。
俺はその声で夢から覚める。全身に力が戻り、自分の足で立つと同時に、
俺をくるんでいた美咲は水の中に弾け散る。
俺の身体を中心に、綺麗なミルククラウンが垣間見えた。
「お兄ちゃん、またね。ぬくもり忘れないよ」
その囁き声を最後に、美咲の気配は消えてしまった。
立ち代るように、皐月が俺の傍へ寄ってくる。
「兄貴、ぼうっと立ちすくんでたよ? ヤバイの?」
「いや、大丈夫だ。ちょっと日射しが強くて、意識が飛んでた。
今はもうはっきりしてる。心配かけたな」
自分でも信じられないくらい、咄嗟の嘘がすらすらと出てきた。
もしかすると美咲が入れ知恵を置き土産してくれたのかもしれない。
0048名前は開発中のものです。
04/06/16 00:39ID:JMofqPLO「お、心配してくれるのか?」
「んなわけないジャン。帰りの運転手いなくなったら、大変だしー」
「そういうやつだよな、お前は」
「あはは。それじゃ、皐月ちゃんはもうひと泳ぎしてくるから。
年寄りは休みなよ。じゃね!」
言いたいことだけ言って、皐月はまた流れるプールに消えていった。
俺は水から上がると、売店でミネラルウォーターを買い、ごくごくと飲み干した。
もしあの時、皐月が来なかったらどうなっていただろう。
俺は自分の望みどおり、美咲の中に取り込まれてしまったのだろうか。
いや、そもそも美咲に取り込まれたい、ひとつになりたいという考えは、
俺の本心なのだろうか?
美咲が俺の心になにか、作用させたものではないのか?
それともあれは全て、初夏の日射しが見せた幻覚なのか?
愛しく、そして怖ろしい幻想の美咲。
冷たく、しかし心配する現実の皐月。
2人の俺の妹は、互いのイメージを補完しつつ、俺にまとわりつく。
これから俺はどうなってしまうのだろう・・・。
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