「ねぇねぇ、ちょっと時間あるぅ〜?」
廊下を歩いていた俺に話しかけてきたのは・・・、河合さんだった。
正直言って、俺はこの子が苦手だ。
いつぞやは体に電気を流され、あるときは脳波を測定され、また
あるときは体操をさせられたこともある。
一体、何を考えているのか俺には分からない・・・。

「あ、あるけどあんまり気が進まないな。」
俺はつい本音を漏らしてしまった。
しかし、河合さんはたいして気に留めた様子でもなかったようだ・・・。
「ねぇ〜、お願いー。」
半ば強引に、いつもの科学室へと連れていかれる。
はあ、今回はいったい何をされるんだ・・・?

「あ、あの・・・、河合さん・・・?」
・・・・・・どうしたのだろうか。
いつもならば、科学室に入るやいなや測定を迫ってきた河合さんが、
今回は何も言ってこない。
ひょっとして、いい難い程の過酷な測定なのか・・・?
頑として断ればよかったと、後悔しかけていたそのとき、

「あ、あのね、ちょっとDNAを採集させてくれる・・・かなぁ」
そう言った河合さんの顔は、今までに俺がみたことがないほど
紅潮し、恥ずかしそうな、普通の女の子のそれだった。
つづく