2020.4.3 16:59

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蝶をモチーフにしたオートクチュールのドレス=水戸芸術館


 水戸芸術館(水戸市)は2日、同市の新型コロナウイルス感染症対策の方針を受け、5月10日までの臨時休館を決めた。これに伴い、同館現代美術ギャラリーで5月6日まで開催予定だった開館30周年記念展「森英恵 世界にはばたく蝶」は終了となった。世界で活躍する日本人ファッションデザイナーの草分け、森英恵さん(94)の軌跡をたどる大型展だったが、一般観覧できたのはわずか計10日。展示内容を改めて紹介したい。



 <私の蝶(チョウ)は銀色に輝くジェット機のイメージよ>

 象徴的モチーフ「蝶」にまつわる森さんの言葉から、展示は始まる。戦後の復興期にデザイナーとして、女性として、日本人として、世界へ羽ばたく力強い意志が込められている。

 森さんの主戦場は既製服ではなく、手仕事が結集するモードの最高峰、オートクチュール(高級注文服)の世界。ずらりと並ぶドレスからは、精緻なビーズ刺繍(ししゅう)や羽根飾りなど西洋で育まれた技術と、日本の着物文化の融合が見て取れた。これらは「東洋と西洋の出会い」として、海外で高く評価されてきたものだ。

 舞台や映画を彩った衣装、日本航空の制服やバルセロナ五輪の日本選手団ユニホームも紹介。昭和63年、美空ひばりが伝説的ステージ「不死鳥コンサート」でまとった2種のドレス、昨年のNHK紅白歌合戦に登場した「AI美空ひばり」の白いドレスも、森さんの手によるものだ。

 故郷の島根県六日市町(現・吉賀町)に舞う紋白蝶(モンシロチョウ)のように、たおやかに世界を舞う森さんだが、実は反骨の人といえる。原点には36年、初めて訪れた米ニューヨークでの強烈な体験があった。百貨店地下に山積された、粗悪な日本製“ワンダラー・ブラウス”。オペラ「蝶々夫人」を観劇すると、下駄(げた)で畳を歩く日本女性が描かれていた。森さんは以前、当時の思いをこう語ってくれた。


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