レスリングや柔道をする中高生らに、海外から“輸入”された新型真菌症が広がっていることが、専門医らの
16日までの調査で分かった。

 試合や練習で集団感染し、家族にもうつっており、日本皮膚科学会は既に国内全域に拡大した可能性が
あるとみている。抗真菌薬などでの治療が有効で、坪井良治・東京医大教授(皮膚科)は「指導者の理解と
医師の適切な診療が鍵だ」と指摘している。

 問題の菌は水虫の原因菌(白癬(はくせん)菌)の一種「トリコフィン・トンズランス」。感染すると体には発疹
(ほっしん)、頭部にはふけやかさぶた、黒点状の発疹ができ、かゆみも出る。頭は無症状の人も多い。

 望月隆・金沢医大助教授(皮膚科)によると、2001−02年に宮城、石川、大阪3府県の高校レスリング部で
集団感染が発生。続いて各地で、格闘技の運動部員や指導者、家族の感染が確認された。

 この菌は60年代以降、国内で時々見つかるが、現在の流行菌は遺伝子のタイプが北・中南米、韓国などで
流行しているものに近い。流行地域への遠征で感染した選手から、国内での試合や練習を通じ感染が広がった
らしい。感染者は1000人規模との見方もある。

 対策はこまめなシャワーや着替えなどの日常的な予防のほか、発症・感染者を早く発見し、抗真菌薬の
内服や抗菌シャンプーなどで根気よく治療することだという。

 坪井教授は「部活動なら部員や指導者全員を検査し、症状のない保菌者でも治療に協力してもらうことが
大事。普通の湿疹(しっしん)と誤診され、治療がかえって症状を悪化させる場合もあるので、格闘技を
やっている人は受診の際、医師に伝えてほしい」と話している。

http://www.sankei.co.jp/news/041216/sha023.htm