旅の目的地、フランス南西部アキテーヌ地方の
ボルドーといえば、フランス最大のワインの産地として
世界中にその名を知らしめている
ボルドーはまた「月の港ボルドー」という
なんともロマンチックな名前で世界遺産に登録されている
18世紀に迎えた黄金時代、ガロンヌ川の河口を中心に
ワインの積み出し港として、街が湾曲した三日月型に発展したためだ

そんな18世紀の栄華をいまに伝える豪奢な建築物が並ぶ
歴史的な街に21世紀になって登場したのが
流線型ボディの路面電車(トラム)
窓を大きくとったガラスとメタルの無機的な質感が
石造りの古い街並みとなぜか溶け合っている

路面電車というと、むしろノスタルジックな懐かしさを覚えることが多いのに
この電車がすっきりと未来的な印象なのは、路面電車につきものの
架線や架線橋がないから
車輪が走行する2本のレールの真ん中にもう1本
給電のためのレールがあり、車体が触れたときだけ電気が通るしくみに
なっているとか

このしくみは、架線から給電する旧来の方法より費用がかかるそうだ
だが、交通渋滞の緩和や、環境保護を目的に路面電車の導入が決定されたとき
ボルドーは、コストより景観の美しさを守ることを選んだという