張られるテンションが同じであれば、軽い弦ほど、弦振動を純粋にギターに入力しやすく、弦が重くなればなるほど純粋入力値が小さくなり、その分弦のブレ入力が増えている。
ブレ入力と純粋入力のバランスでギターの音が出来上がる。
このような入力バランスの悪さと組み合わせて、ギターとしてバランスの良い音をアウトプットできる木材を、所謂”良い材”と呼び、その音を発するギターを良いギターと呼んでいるのである。
であるから、あまり良くない(便宜上)ギターでは、純粋入力が多い細い弦に限ってエッジから音が来やすく歪みやすいし、太い弦では、純粋入力よりもブレ入力が増えエッジが出難いという現象が出がちになる。
純粋入力が小さければ小さいほど歪まないし、それはギターに用いられる材料のコシが強く(アッシュ、アルダーマホガニーのような既存のエレキギター材でも重く固く)なればなるほど、入力に鈍感なためこの傾向が強くなる。
このようなギターの音をアンプで歪ませると、低音弦のエッジと歪、太さが良い具合になった時点で既に中音域以上の弦はギターに対する過剰入力で音が散り細くなる。
説明が長くなったが、こういう傾向のハムバッカー搭載ギターが多かった事が80年代後期以降の音楽を産み出し、ハイゲインアンプが受けた理由であると思う。
ちなみにバスウッドも重さ硬さの割に腰が強いのだ。
所謂良いギターはハイゲインアンプ無しに、歪のバランスが良いまま、高音弦も低音弦も太さをキープできる範囲が大きいと言える。
目指しているのはこっちだ。