> 最終的にアームホールは3点を結ぶ滑らかな曲線というような
> 感じになると思うのですがそれだけの条件では皆が同じラインを引けない
> のではないかと思ったのです。

「3点を結ぶ滑らかな曲線」...
そんなに大ざっぱすぎる制約条件じゃ、同じラインは絶対に再現できません。
最初に理解して欲しいんだけど、カーブの「線」自体が問題なんじゃない。
まずはじめに胴体と腕という二つの立体があって、
胴体と腕とを肩先からある断面で切り離すと、
その断面の軌跡がたまたまAHのカーブになるに過ぎないの。

胴体は凸凹してるから、切断して展開すりゃAHカーブも凸凹してしまう。
その凸凹したAHカーブをもういちど布に起こしてボディに着せて、立体的に
なってはじめて、綺麗なシルエットのAHになるんだよ。立体で見たカーブの
シルエットの美しさと、平面で見るカーブ線の美しさは、同じものじゃない。

しかも、AHは、必ずしも切り口がスパッと平面になるように切断する訳じゃなく、
腕の運動に合わせて、後ろ側に広がるようにナナメに切断することになる。
さらに、前は少しでも痩せて見えるようにさらにAHをえぐるかも知れないし、
後ろは運動量をキープするためにわざとAHを膨らませるかも知れない。
さらにそこに、袖山に(場合によっては袖底にも)いせの膨らみ分が加算されるわけ。

立体的に見るとこれだけの要素を含むAHカーブを、素人さんが平面から一発で
起こせると思いますか? 私は思わない。文化だのドレメだのの平面製図方式は
ずいぶん大ざっぱでいい加減なパターンメーキングだと思う。
一部の素人さんは、
「平面製図は、寸法に基づいてAHを起こすから数学的。それに比べて
立体裁断は数値的な根拠が全然ないアナログなやり方」と信じているように思う。
だが、上に書いたように立体と平面は違う。まず立体ありきでその断面から
AHのカーブを起こす、という点で、立体裁断の方がよほど理に叶っているんだよ。
やったことのない人には信じられないかもしれないけど。

素人さんが平面で一からパターンを起こす時に、少しでも美しくAHを決めたいなら

・平面方式を信用しない。平面で描いた自分のAHカーブを信用しない。
・最初に描いたAHはあくまで叩き台と肝に命じ、立体での何度かの修正を覚悟する。
・最初に胴体のみ単独で立体で起こし、AHのラインと寸法が確定するまで、袖の製図はしない。

を心に止めておいて欲しい。