今まで多くのオーケストラやギターコンサートを見てきて、
その中で感動したものや衝撃を受けたものも沢山あったが、
山下氏のコンサートだけはそれらとは何かが違った。
なんと言って良いかわからないけど、とにかく重い。重たい。
暗いホールの中に一人浮かぶ山下氏が、演奏直前に首をうなだれて自分の爪を観察する様はまるで巨大な亡霊のようで、
そこからズンとくる大きな音、非常に深みのある音、時折奇妙にゆがませる音、それらがドンドンとのしかかってきて、
他のコンサートでは絶対に味わえないような感覚に陥った。
コンポステラの歌などは特にそう感じさせ、曲が終わると同時に大きなため息が出来た。
重圧で息が出来ていなかった。
昔のトロントの動画の様に怒涛のごとき演奏で圧倒される事もあったであろうが、
今の山下氏が魅せるこの重厚な空気を是非コンサートに行って体験してもらいたい。
この様な感覚に陥るのは僕だけかもしれないが・・・
とにかく山下氏は天才の域を超えて誰も到達できない存在になっているのかもしれない。
何十年とコンサートを見てきたが、今のところ僕はそう思う。