右耳をつままれたら
ぼくは腰が
ぬけた

左耳を舐められたら
声が出なく
なった

目を開けたまま天上まで
のぼる煙を見ていた

友達や恋人さえ今は

なくしたものは
けむりのかたち
さあ
息を吹きかけたら
なくなる

そんな程度のたよりない
たからもの


なくしたものは
けむりのかたち
さあ
手を伸ばしただけで
こわれる


そんな程度のくだらない
たからもの