昔々1984年ころの話です。

早稲田にルナっていう喫茶店がありました。
そこはナレオという軽音楽部の連絡場所、溜まり場でした。
ナレオは数々のプロ、音楽関係者を輩出した歴史ある大学公認の音楽部です。
学年ごとにいくつかバンドがあるのですが、1年生バンドのピアノが
どうしても見つかりませんでした。そのうち、ウェイトレスのバイトに
一人の女の子が入りました。笑顔がかわいいおんなのこです。
彼らと顔なじみになるうち、彼女が二文の1年生で、クラシックピアノを
かなり長い間やっていたことがわかりました。
「一度、部室(ぶしつ)においでよ。ちょっと弾いてみないかい?」
ジャズポピュラーピアノ、コード進行も知らない彼女は
キョトンとしていました。

これが菅野よう子の始まりです。