ツインギターの相方が脱退した時の話

かつてランディー・ローズが好きで、白のレスポとランディーVをつかってます、
と言う男と会った(メンボの際)。 その男とてもそんなふうには見えなく、テンパ、
色黒、メガネ、デブという、もろオタっぽい男。話してもボショボショとはっきり聞き
取れないという、絶対こいつと組むのはイヤだと思った。でもルックスだけで断るわけ
にもいかず(「ヴィジュアル系ではないのでルックス不問」と書いた)とりあえず一度
スタジオ入って、それでやっぱり合わないからとか言って別れようとした。

すげー上手い。俺なんか全然比較にならない。月並みないいかただがまるでCDみたいに
正確。ミストーンなんかまるで無し。リズムもオーケー。はっきり言って悔しくもあり、
情けなかった。ただ、他のメンバーは戸惑ってた。確かに上手いが、あんな暗そうなヤツ
入れるのか?、と。俺はリーダーだったから決定権があった。ネクラ君がトイレに行って
るうちに速攻で話し合い結局断る事になった。俺が彼に嫉妬した事も否定できない。
だが、終了後のミーティングでネクラ君は言った。

「みんな上手ですね。どうも僕なんかじゃついていけそうに無いので、この話は無かった
ことにしてくれませんか。」

そんなハズは無い。彼のレベルが俺はもちろん、他のメンバーよりはるかに上を行ってた
のはみんなわかる。おそらく、彼は俺達のレベルに失望したか、雰囲気を感じ取ったかあるいは
その両方で、一緒にやれないと思ったのだろう。
彼がその後どうなったのかは全く知らないが、誰か良いメンバーに巡り会えていれば、と思う。
それが俺の偽善であることも承知している。 ただ、オタクというか、ルックスだけで判断する
のはもうやめようとは思っている。

俺のカンでは、友達がいなくひたすらギターをやっていたんだろう、なんてメンバーには言った
が、それでもあれだけギターが上手くなれるものならそれもいい、と時々思う。