「指環」は「ニーゲルンゲンのうた」だけじゃなくいろいろな古典作品からアイデアをもらっている。
たとえば、アルベリヒが大蛇に化け今度は小さいものに化けてみろといわれて蛙に化けて捕まるところは
イソップ童話(だったかな?)のアイデアそのものだし。

アルベリヒのモデルは抽象的に言えば産業革命によって莫大な利益を得ていた19世紀の資本家だね。
ワーグナーが最も忌み嫌ったタイプの人間だ。
「ラインの黄金」のニーベルハイムの場で繰り返される
♪ ♪♪│♪♪♪│♪ ♪♪
のリズムは産業革命で機械化された工場群を髣髴させる。

実際、この作品のあとロンドンに渡ったワーグナーは、ロンドンの工場群から排出される煤煙を見て
「ここではアルベリヒの悪夢が現実化している」
とコジマに語っている。

ワーグナーはアルベリヒのように「愛を断念する」なんてことは絶対になかったようだね。