ビック・ディッケンソン”VIC'S BOSTON STORY”

嫌いな評論家がこのレコードを昔から褒めてたんで敬遠してたのだが、
国内LPが安価で打ち捨てられてるのを拾って聞いたら超感動。
滅び去っていくものをただ黙って見つめているような諦観に彩られた
ダウナーなトロンボーン。倒産した会社の一室で夕暮れの窓辺に佇みながら、
なにもかももっていかれた自分の人生を回顧している様を思わせる
侘しさがたまらんぜ。根底に、ミッシャエルマンのバイオリンにも通じる、
暖かく激甘なトーンを持ち合わせているところも、本作品の感傷性を加速
させてるっぽい。枯葉がかさかさと足元を転がる秋頃には、さらに味わいの
出てきそうなレコ。一生ものをゲット。