両備グループ、不採算31路線で廃止届 バス主力路線の他社参入に反発
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO26707220Y8A200C1LC0000/?n_cid=TPRN0011

 両備グループは8日、傘下の路線バス、両備バスと岡電バスが
岡山県内で運行する赤字路線のうち計31路線について
中国運輸局に廃止届を提出したと発表した。同グループの
主力路線に参入申請した他社の新路線が自治体や
事業者、住民らとの協議もなく認可されようとしているとし、
小嶋光信代表は「地域公共交通の存続をかけた問題提起をしたい」と語る。

 廃止申請したのは両備バス全36路線中の18路線と
岡電バス全42路線中の13路線。今年9月末と来年3月末に
順を追って廃止予定で、両備バスで1日当たり約4000人、
岡電バスで同1500人に影響が出るという。

 この背景にあるのが、岡山市中心部を走る循環バス「めぐりん」の新路線だ。
タクシー事業の八晃運輸(岡山市)が2012年から運行しているが、
17年3月末に岡山駅前から岡山市東部の西大寺方面を結ぶ
新路線を低価格で申請した。中国運輸局によると「近く結論を出す予定」だ。

 西大寺が発祥の地でもある両備グループ。西大寺線は
「108年間、私鉄と同様に沿線開発をしてきた伝統的路線」(小嶋代表)で
繁忙時にはバスが5分に1本運行する。「30%の黒字路線で
70%の赤字路線を維持する両備、同様に40%で60%を支える岡電」
にとって有数のドル箱路線。「ここを取られると赤字路線が維持できなくなる」。

 関係者で何の協議もないことにも憤る。一方、八晃運輸の担当者は
「当方からお話しすることはない」としている。

 「廃止するために廃止届を出した訳ではない」。小嶋代表は
認可されなければ廃止届を取り下げると話し、最後の手段として
法廷闘争も視野に入れているという。たま駅長で有名になった
和歌山電鉄や広島県東部の中国バスなど、地域公共交通の再生を
数多く手掛けてきた小嶋代表の問題提起は波紋を呼びそうだ。